今回はパーセプションを「まもる」をテーマにした最後の回だ。パーセプションを守る場合、シチュエーションは2つに大別できる。連載で紹介した吉野家や大戸屋などの事例を整理しながら、それぞれのシチュエーションごとに、パーセプションを守る戦略をどのような発想で検討すべきかを解説する。パーセプションチェンジは対価を得た一方、失う物もある。双方を鑑みて守ることが重要だ。

(写真/Shutterstock)
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 まずは、下表を見てほしい。パーセプションを守るというからには、必ずブランドを脅かす相手がいるはずだ。つまり、何からブランドパーセプションを守るのか。それは大きく2つのシチュエーションに整理できる。1つは、対象の敵がいる場合、もう1つは便宜的に対象無しとしているが、敵が自分自身の場合だ。まずは、敵が外にいる場合について説明しよう。この整理をベースに、パーセプションを守る際の考え方を解説していこう。

パーセプションを「まもる」場合、対象の敵がいるケースと自分自身が敵になるケースがある
パーセプションを「まもる」場合、対象の敵がいるケースと自分自身が敵になるケースがある
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 では対象となる「敵」とは何者だろうか。具体的なテーマでいうと、危機管理広報が挙げられる。自社のパーセプションやブランドが毀損されるリスクがあるので、なんとか死守しなければならない、という状況だ。

今回は連載に掲載した事例からパーセプションを「まもる」ことの意味をおさらいする
今回は連載に掲載した事例からパーセプションを「まもる」ことの意味をおさらいする

 この場合のパーセプションは、空間軸で捉える必要がある。つまりこの戦いは、当たり前だが同じ時期に同じ空間で行われている。さらに言えば、危機管理広報なのでスピード重視だ。のんびりやっている場合ではないケースもある。現在この世の中で何ができるか、何をすべきか、空間軸で捉えるということが重要だ。

 次に、パーセプションの要素をどう捉えるかも大切な視点だ。連載第2回で、パーセプションを形成する5つの要素を解説した。5つの要素とは、「事象」「リテラシー」「グループ」「タイミング」「コントラスト」の5つ。敵が外にいる場合、とりわけ重要になるのはコントラストだ。

パーセプションは「事象」「リテラシー」「グループ」「タイミング」「コントラスト」の5つの要素で形成される。パーセプションを守る場合、コントラストが重要になる
パーセプションは「事象」「リテラシー」「グループ」「タイミング」「コントラスト」の5つの要素で形成される。パーセプションを守る場合、コントラストが重要になる
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 コントラストとは対象と比較することによって、パーセプションが生まれたり、変わったり、弱まったり、強まったりするということ。東京タワーも東京スカイツリーと比べたら低く感じることだろう。比較対象があることによってコントラストが作用するのだ。敵が外にいる場合は、このコントラストが非常に重要になる。これをパーセプションの守備に当てはめてみると、「対抗軸の設定」ということになる。自分と外にいる敵の間に、どういう対抗軸を設定するかによって、コントラストがどうなるかが決まる。戦略的な対抗軸の設定が重要なのだ。

大戸屋のケースの対抗軸は「手作りvs. 工場」

 第16回で紹介した、敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられた大戸屋ホールディングスのケースでは、コントラストは料理が「手作りか、工場製造か」だった。つまり、手作り重視の大戸屋に対して、セントラルキッチン=工場による効率経営がコロワイドという対抗軸だ(関連記事「敵対的TOBでブランド危機 大戸屋が広報戦略でパーセプション死守」)。

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