本連載のテーマである「パーセプションチェンジ」をより効果的に実現するためのフレームワークが「パーセプションフロー・モデル」だ。このフレームワークの提唱者であるクー・マーケティング・カンパニー(東京・渋谷)代表取締役の音部大輔氏と著者の本田哲也氏が、「認知」と「認識」が持つ意味や効果測定の手法について前後編にわたって議論する。
本田哲也氏(以下、本田) この連載では「認知」と「認識」の違いを説明してきました。認知はアウェアネス、認識はパーセプションです。どちらが重要という話ではありませんが、マーケティング上におけるこの違いについてはどうお考えですか。
音部大輔氏(以下、音部) 私は、「ブランド名は知っているよ」という程度の認知は、ほぼ意味がないと思っています。認知度がものすごく高くても、残念な場合もある。それは、認知があるのに興味を持ってもらえない場合。つまり興味を持つに値しない認知だから、名前を知っただけである程度好奇心は満たされているという状態です。
本田 認知度は高いのに購買など本来のマーケティング目的につながっていないのは、どこかに問題があるはずですよね。例えば、PRでは「ヤフトピ(「Yahoo!ニュース」のトピックス一覧)に載せたい」「テレビに出たい」といった、シンボリックなメディアへの露出を依頼されることも多い。掲載されて認知を拡大することは1つの成果ですが、それで人が動かなかったら、マーケティングにおけるPRは失敗したことを意味します。
音部 同じように、例えば試供品を提供するサンプリング施策に「3万人に配る」といった目的を設定することがあります。ぱっと見では、正しくマーケティング活動の目的を示しているように見えますが、実はこれは作業完了の目安でしかありません。
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