パーセプションチェンジ(認識変容)の効果測定をテーマに、クー・マーケティング・カンパニー(東京・渋谷)代表取締役の音部大輔氏と本連載著者の本田哲也氏との対談は白熱。後編ではより具体的に設定すべきKPI(重要業績評価指標)や測定結果を受けての施策の改善などについて、意見を交わした。

本田事務所 代表取締役/PRストラテジストの本田哲也氏(左)、クー・マーケティング・カンパニー(東京・渋谷)代表取締役の音部大輔氏(右)
本田事務所 代表取締役/PRストラテジストの本田哲也氏(左)、クー・マーケティング・カンパニー(東京・渋谷)代表取締役の音部大輔氏(右)

前編はこちら

本田哲也氏(以下、本田) 今回の対談は「パーセプションチェンジの効果測定」が大きなテーマと考えています。パーセプションをどう測り、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回すべきか。

 PRの専門家としてパーセプションに関わっていますが、その効果の把握はとても難しいと感じています。なぜかというと、パーセプションという概念は、消費者や世の中が企業やブランドをどう見ているかという客観的な視点を意味しているからなんですね。実際のところ世間はどう思っているかということは、なかなかつかみにくく調査や手段も限られています。つまり、完璧に測ることは難しい。

 パーセプションチェンジの設計図とも言える「パーセプションフロー・モデル」を提唱されている音部さんの効果測定についての考えをお聞かせください。

音部大輔氏(以下、音部) そもそも「なぜ測るのか」という目的を考える必要があります。消費者理解活動の目的は、いろいろあるように見えても実は大きく2つしかありません。

 1つは、消費者が購買などの意思決定をする際の判断基準を把握するための調査です。実施予定のマーケティング施策に対して消費者はどのように思うか、案が複数あればAとBのどちらのほうが反応がいいか、といったことを調査します。意思決定のためのリサーチは、上司や取引先などマーケティングにかかわるステークホルダーが納得できることが重要です。精緻な数字などの科学的な基準が大事なのも、全員が客観的に納得できるために必要となるからです。

 もう1つは消費者を理解するための調査です。消費者理解は、マーケティングプランを作ったり、発信する内容を決めたり、最適なメディアを考えたりするのに必要です。消費者理解はさらに2つに分類できます。1つはブランドのベネフィット開発や広告などのクリエイティブ制作のための材料。もう1つは、消費者のパーセプションが変化する仕組みを理解し、施策の命中率を上げるためです。これら2つのどちらを目的するかによって、計測手法は変わってきます。

本田 意思決定の計測と、消費者理解の計測。パーセプションフロー・モデルではどちらを重視していますか。特殊な調査が必要でしょうか。

音部 最も重視しているのは、パーセプションが変化する仕組みの把握です。パーセプションフロー・モデルの利点の1つは、途中でマーケティングプランを修正できる点です。3カ月のキャンペーンが終わってからその成否を分析するのではなく、施策の途中でもタイムリーに軌道修正ができるので失敗しにくい。改善を示唆するような消費者理解ができるように心掛けるのがいいでしょう。ここで正しい理解ができていれば、改善や続行の意思決定も促しやすいと思います。

本田 パーセプションフロー・モデルを見ていれば、パーセプションの変容が起こらない理由としてどの刺激が足りないのか、どこが「目詰まり」しているのかが分かるということですね。

音部 おっしゃる通りです。パーセプションフロー・モデルは最初の施策が失敗しても、そこで目詰まりしている理由を取り除くことで、第2弾、第3弾の施策の命中確率を高められます。

 それには消費者のパーセプションの計測がとても重要です。ブランドも市場創造もパーセプションに立脚していますから。もちろん、ビジネスとしては消費者の行動、特に購買行動を促したいのですが、いきなりマーケティング活動で行動を促そうとしても人は動きません。そこでパーセプションに働きかけます。

 KPIとして計測対象は3つあると考えます。1つ目は消費者のパーセプションの変化、2つ目はコンテンツやメッセージの良し悪し、3つ目がメディアの量や接触頻度です。コンテンツが影響したのか、それともメディアが影響したのか。コミュニケーションは、広告でもPRでも、この2つの成分に分解できます。このあたりの区別をし、うまく計測できると効率的にラーニング(学び)を積み、効果的に改善していくことができます。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>