本連載では名刺管理アプリのSansanやAI(人工知能)教材の「atama+」など、スタートアップ企業がパーセプションをつくる事例を紹介してきた。だが大企業でもパーセプションを「つくる」ことで、新たな市場を創造できる。今回は発売9カ月で累計出荷数が38万個を超えた、資生堂が展開するメンズブランド「uno(ウーノ)」のヒット商品「男性用BBクリーム」成功の秘密を解き明かす。
BBクリームとは、メーカーによって多少成分の違いはあるが、美容液やファンデーションなどの機能を兼ねたオール・イン・ワンの美容クリームのことだ。塗るだけでしみ、そばかす、目の下のくまなどをカバーし、肌をきれいに見せられる。女性の愛用者は多いが、国内では男性利用者がほとんどいなかった。
従来はゼロに等しかった男性向けBBクリーム市場を切り開いたのが、unoのBBクリーム「uno フェイスカラークリエイター(以下、フェイスカラークリエイター)」だ。とはいえ、一足飛びに売れたわけではない。2019年3月の発売当初は一部のドラッグストアやECサイトなど、販売チャネルを限定していた。BBクリームはメイクという商品カテゴリーに属する商品。整髪料や洗顔料とは異なり、一般的な男性にはなじみが薄いと考え、全国展開は時期尚早と判断した。
プロモーションでもマス広告を使わず、PRやデジタルを中心に展開していたが、想定を大幅に上回り、目標の3倍の売り上げとなった。そこで19年秋から全国に販路を広げ、冬にはテレビCMを含むマスプロモーションを展開。19年3月初旬~12月末日で出荷数は累計38万4000個に達した。
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