本連載ではマーケティング業界で重要性を増す「認識(パーセプション)」について、生まれる理由やブランドとの関わりなどについて、3回にわたり解説してきた。第4回以降はパーセプションをマーケティングに生かす5つの方法を紹介していく。まずは、ジントニックのパーセプションチェンジを狙ったバカルディ ジャパン(東京・渋谷)の事例だ。
パーセプションをマーケティングに生かす5つの活用法とは、パーセプションを「かえる」、新たなパーセプションを「つくる」、現状のパーセプションを「はかる」、好ましいパーセプションを「まもる」、そして応用編の「いかす」だ。本連載では今後、各活用法について具体例に基づき解説していく。まずは、パーセプションを変えることで成功した事例だ。
2019年10月3日、「ジントニックとカレーは、赤ワインと肉以上に相性がいい」という内容のプレスリリースが発表された。これは科学的根拠に基づいている。
居酒屋やバーで飲むイメージのあるジントニックとカレーという思いがけない組み合わせを提案したのは、洋酒メーカーのバカルディ ジャパン(以下、バカルディ)だ。同社はジンやラムのほか、ウイスキーやコニャックなどのプレミアムスピリッツを扱う。この意外な組み合わせは、SNS上でも「試したことはないけど気になる」「まさかの面白いことを全力で研究している」といった反響を呼んだ。
一見、ネットでのクチコミ拡散を狙った短期的な施策にも思える。だが、実はそこには、むしろ中長期的に「ジンという酒類カテゴリーへのパーセプションを変える」という狙いがある。バカルディのプレミアムジン「ボンベイ・サファイア」だけではなく、ジンというカテゴリー全体に対する認識を変化させ、市場拡大と販売促進を目指した取り組みだ。今回は、このユニークなパーセプションチェンジの試みを紹介したい。
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