ヤフー×LINEの統合発表を皮切りに、幅広い生活シーンを包括する「スーパーアプリ」を目指す動きが加速している。その基盤となるのは、当然だが人が集まるプラットフォームであること。そこで、データ分析会社フラー(千葉県柏市)とアプリの利用動向を調査し、“勝ち残るスーパーアプリ”候補を探した。
スーパーアプリの基点には、必ず人が集まる強いサービスがある。中国の「微信(ウィーチャット)」は中華圏No.1のコミュニケーションツールで、同じく中国の「支付宝(アリペイ)」はモバイル決済サービスの代名詞。どちらも、今や自転車のシェアリングや食品のデリバリーといったサービスに加え、決済、保険などの多様な金融サービスまで提供している。一方、インドネシアの「Gojek(ゴジェック)」、三菱UFJ銀行が最大800億円を出資すると報じられたシンガポールの「Grab(グラブ)」は、配車サービスが原点のスーパーアプリだ。では、日本でスーパーアプリの“種”となる、「人が集まるアプリ」は何か。アプリのデータ分析を行うフラーの協力を得て、2019年12月のMAU(月間アクティブユーザー数)をランキング化し、探し出した。
上のグラフは、AndroidユーザーのMAUトップ50を並べたものだ(選出条件はグラフ下に)。まず、目立つのが、Googleの強さだ。ブラウザーの「Google Chrome」とポータルの「Google」がMAUランキングのトップ2を獲得しただけでなく、4位「YouTube」、5位「マップ – ナビ」、6位「Googleドライブ」、7位「Gmail」、9位「Googleフォト」……と各種サービスが続く。プラットフォーマーとしての強さは圧倒的だ。
オンラインだけではない。Googleは「リアルな世界にも積極的にアプローチしているのが最近の傾向」と、フラーのアプリ分析メディア「App Ape Lab」編集長・日影耕造氏は指摘する。特に、注目すべきが、マップに関連する「ローカルガイド」。位置情報をベースに、クチコミを投稿したり、写真を共有したり、場所の追加や編集を行ったりする世界的なコミュニティーサービスで、日本でもレストランや観光施設などのレビューが急激に増えている。オンライン空間の膨大なデータだけでなく、ローカルなデータもGoogleが手中に収めつつある。「人とデータをどれだけ集積できるかが、プラットフォームの強さを決める大きな要因」(日影氏)と考えると、日本勢にとっては脅威だ。
コミュニケーションツールはLINE一強、通信キャリアが巻き返しへ
3位には「LINE」が食い込んだ。上位2つのGoogleのアプリに肉薄するMAUをたたき出し、コミュニケーションツールとしてはまさに一強状態だ。統合を発表したヤフー関連のアプリとしては、10位に「Yahoo! JAPAN」が滑り込んだのに加え、話題のスマホ決済「PayPay」も21位に入った。「コミュニケーションツールをLINEで、ニュースやメディアのポータルをYahoo! JAPANで、そして決済をPayPayでカバーする。補完し合う関係性が出来上がっている」と、日影氏は見る。
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