SNS黎明(れいめい)期から無印良品の「中の人」として活躍。400万人超のファン獲得を主導した風間公太氏が、SNSの現在地と未来を探る対談企画。今回は「森美術館」のSNSを担当する洞田貫晋一朗氏と、同美術館におけるSNSのビジネスへの貢献などについて語り合う。
風間公太氏(以下、風間氏) 御社のような美術館アカウントの場合、ターゲット設定が非常に難しいのではないかと思います。森美術館自体に興味を持っている方たちはもちろんですが、当然、展覧会ごとに変わる作品の作家やアーティストのファンの方々も対象になりますよね。
洞田貫晋一朗氏(以下、洞田貫氏) 実はそこが一辺倒にはいかないところで。現代美術だけでなく、デザインや建築といった展覧会も催しますので、そういったおのおののファンも数多くいらっしゃいます。例えば建築の展覧会なら、建築業界の人や建築系の学科に通っている学生さんなども想定してターゲット設定を考えています。
風間氏 ということは、展示が変わるたびにターゲットやSNSの内容をリセットする必要がある。
洞田貫氏 おっしゃるとおりです。3~4カ月に1度はSNSの内容やプランなどを一から立て直さないといけないので、毎回新しい違う会社のプロモーションをしているようなもの。そこはいつも胃がきりきりします(笑)。
コンテンツ自体が一新されますので、ガラッと変わるターゲット層にアプローチすると同時に、以前にファンになってくれた方が離れないように、というところも心がけなければいけません。業界として、美術館SNSの問題点の1つがここにあります。大きい美術館などは展覧会ごとに新たなアカウントをつくりますが、それは2~3カ月の会期が終わったら停止されてしまいます。
情報を期間限定のアカウントに集約したがために、興味を持ってくれたファンを館として次の企画に引き継げず、ファンとのコミュニケーションを継続できない状況があるのです。それはもったいないと思うので、森美術館としては展覧会ごとにアカウントを立てることはあまりありません。館としてのアカウントを確立させ、そこで丁寧に情報を出しています。
風間氏 その手法を続けているということは、1つの展覧会が終わった時点でそのファンが一気にフォローをやめてしまう、ということが起こることもないのですね。
洞田貫氏 そうですね、実は、大変ありがたいことに、何十万人も動員するような、人気の展覧会が終わった後にも、フォロワー数が下がるような事態が今まで一度もなかったので、これは森美術館のファンになってもらえたのだと理解しています。
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