SNS黎明(れいめい)期から無印良品の「中の人」として活躍。400万人超のファン獲得を主導した風間公太氏が、SNSの現在地と未来を探る対談企画。前回に引き続き、「インスタグラマー社長」ことgrams代表取締役の艸谷真由(くさたにまゆ)氏とともに、企業Instagramアカウント運用の現状分析と活用の改善策を探る。
風間公太氏(以下、風間) 今の日本企業のInstagramの運用状況をどう見ていますか。
艸谷真由氏(以下、艸谷) 企業アカウントは、まず最初にInstagramで何をしたいのかを考え、独自の企画を作る必要があります。「ユーザーがInstagramを見る意味を作ってあげる」ということなのですが、多くの企業はそれができていない。
風間 ある程度予算をかけられる企業の場合は、プロのカメラマンとスタジオを用意して良質な写真や動画が撮れますが、それがイコール、Instagramのコンテンツに向いているのか、ユーザーが求めているものなのかは別だということですね。
艸谷 そうです。単にプロが撮り下ろした商品の写真がタイムラインに流れても、「あ、宣伝が来た」と流されるだけ。Instagramでは“ユーザーっぽい”クオリティーが受け入れられるんです。なので、企業もいかにユーザーのクリエイティブ感覚になじませて、個人の投稿以上に企業アカウントの方が情報豊富で内容も面白い! と思ってもらえるコンテンツを提供したいですよね。現状、企業はそれを個人よりもできていないのがもったいないです。
風間 なぜそれができていない企業アカウントが多いのでしょうか。
艸谷 企業アカウントの担当者がInstagramを知らな過ぎるという印象を受けます。それは運用方法ではなく、Instagram自体を好きではないのだと思います。日々Instagramを見ていたら、おのずとフォローされるためにふさわしいやり方が見えてくるはずです。「あなたがInstagramユーザーとして見たときに、その企業アカウントをフォローしますか?」「ブランド名を外しても魅力的なコンテンツですか?」という視点が最重要なんです。
そしてもう一つ言いたいのは、企業はどのユーザーにファンになってもらうかを決めてInstagramを使うべきです。
風間 ターゲットを絞り込む、ということですね。
艸谷 会社全体が設定しているユーザーターゲットがありますよね。Instagramはその中でもさらに狭いところをとらないといけないんです。私は「ユニクロ」の戦略がすごくうまいなと思っていて。新聞に折り込んであるチラシは誰が見てもごく普通のチラシで、広いユーザーへアプローチするもの。でもユニクロ銀座店のInstagramを見ると、その店舗に来る人向けに作ってあるんです。きちんと店舗独自のターゲット層を設定しているんですね。そこが、フォロワーが増えている要因です。もともとのファンだけでなく、新規のファンを獲得したいのならInstagram独自の戦略をイチから練らないといけません。
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