SNS黎明(れいめい)期から無印良品の「中の人」として活躍。400万人超のファン獲得を主導した風間公太氏が、消費者とのコミュニケーション戦略の現在地と未来を探る対談企画。第1回のゲストは「インスタグラマー社長」こと、grams代表取締役の艸谷真由(くさたにまゆ)氏だ。

顧客時間チーフプランナー/広報統括の風間公太氏(左)が第1回の対談相手に選んだのは、“インスタグラマー社長”として活躍しているgrams代表取締役の艸谷真由氏(右)
顧客時間チーフプランナー/広報統括の風間公太氏(左)が第1回の対談相手に選んだのは、“インスタグラマー社長”として活躍しているgrams代表取締役の艸谷真由氏(右)

風間公太氏(以下、風間) 艸谷さんはご自身の職業を何と名乗っているんですか。

艸谷真由氏(以下、艸谷) 今は“インスタグラマー社長”と名乗っています。「インスタグラマー」と「経営者」というところをリンクさせて。ただ、今は個人のインスタグラマーとしてPRなどのお仕事は全くしていないです。企業のアカウント運用支援やマーケティング支援がメインです。

風間 もともとはアパレル販売員をされていたとか。

艸谷 5年前ですね。新卒でアパレル会社に就職する前にも3年間、アルバイト店員として経験を積み、入社してからも1年間、会社員として販売員をしました。その後2年間は専業主婦でしたが、2017年の8月からインスタグラマーとして成り上がろうと(笑)、決めました。そこから10カ月で1万フォロワーを獲得しました。

風間 まず、そこです。テレビでインスタグラマーの特集を見たのがきっかけだったそうですね。なぜそれでインスタグラマーとして覚醒したのですか。

艸谷 売り上げ1位を目指すと決めてアパレル会社に入社し、3カ月で全社トップの成績を収めて店長を任されたのですが、働き方に違和感を覚えました。「全部やりきった」と思ったので丸1年で退社しました。

 それから会社員をすることは一度もなく、2年後に結婚をして専業主婦になりました。そんなとき、たまたまテレビで見たインスタグラマー特集に引き込まれたんです。そこで、「インスタグラマー 稼ぐ」などで検索したら、そういう活躍をしている人のノウハウがなかったんですね。芸能人や著名人でもなく、一般人でゼロからスタートして、「インスタグラマーの仕事をしています」という人が誰も検索にヒットしなかった時点で、「これができたらめっちゃ強いやん!」と思いました。

風間 でも、それまでは積極的にSNSをやっていなかったんですよね。

艸谷 むしろ超苦手でした。アパレル会社のときもSNSは別の担当者にお任せでしたし、当時私のInstagramは鍵アカウントでフォロワーも150人でした。インスタグラマーになると決める前は、Instagramで自分の思い出をアルバムとして残して友人のみに見せたかっただけ。なのに、後々Instagramを職業にするためにアルバムを皆さんに見せるようになったり、すてきなカフェを魅力的な写真で紹介して、多くの方にときめいてもらったりしたいと、強く思うようになったんですから不思議です。

風間 僕はそこがすごく重要だなと思っています。SNSは承認欲求的な要素が強いメディアで、自分が人から何かされたいという意識を持っている人が圧倒的に多い。でも艸谷さんの場合は「人に伝えたい」という気持ちありき。その起点が全く違うなと思いますし、この考え方は企業アカウント運用でも大切です。

艸谷 それは自分がアパレル販売員だった過去が大きいですね。おしゃべりが好きで、その人に似合う服が提案できることが私の唯一の得意技。それで相手が喜んでくださると、すごくうれしいんです。アパレル販売員とインスタグラマー。実はやっていることは完全に一緒なのかもしれません。

対談ゲスト:grams 代表取締役 艸谷真由(くさたに まゆ)氏
1991年大阪生まれ。大学時代にアパレル販売の仕事にのめり込み、卒業後はSTUDIOUS(現TOKYOBASE)に入社。入社3カ月目に全社員の月間個人売り上げで1位。新卒1年目に店長に抜てきされ、年間最優秀新人賞などを受賞。その後、退職してから2年後、専業主婦となってからInstagramを始め、10カ月で1万フォロワーを達成。自身で培ったノウハウを基に、マーケティング支援・コンテンツ企画のgramsを創業。アパレル販売員×SNSという新しいキャリア形成と、ファンコミュニティーをInstagram内で作り上げ、「誰もがワクワクする世界」の実現を目指している。著書に『「こだわり」が収入になる! インスタグラムの新しい発信メソッド』(同文舘出版)がある

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