赤ちゃんはなぜ泣いているのか。古今東西、親なら誰もが抱いてきた謎にテクノロジーで答えを導き出したのが、ファーストアセント(東京・中央)。米ラスベガスで開催中の世界最大のデジタル技術見本市「CES」に、J-Startupの一角として出展。日本発ベビーテックが、世界の共感を呼んだ。

「CryAnalyzer Auto」は赤ちゃんの泣き声を検知し、原因を特定できるデバイスだ
「CryAnalyzer Auto」は赤ちゃんの泣き声を検知し、原因を特定できるデバイスだ

 枕元に置くだけで、赤ちゃんが泣いている原因が分かる――。ファーストアセントがCESに合わせて開発したのが「CryAnalyzer Auto」だ。

 手のひら大の四角いデバイスで、赤ちゃんが泣くと、Hangry(空腹)、Angry(怒っている)、Sleepy(眠い)、Uncomfortable(不快)、Boring(退屈)のいずれかに分類して、スマートフォンに通知を送る。目を離していても、子供が泣いていること、そしてなぜ泣いているかを把握できる。

 「CESで一番知りたかったのは、海外の人がどういう反応をするか。ふたを開けたら、開幕早々、受け入れられた。やっぱり皆、(赤ちゃんが泣く理由を)知りたいと思っていた」と服部伴之CEO(最高経営責任者)は手応えを語る。

ファーストアセントの服部伴之CEO
ファーストアセントの服部伴之CEO

 ファーストアセントを創業したのは、2012年。0~6歳児を持つ子育て世代に向けた育児アプリ「パパっと育児@赤ちゃん手帳」で頭角を現した。アイコンをタップするだけで、子どもが寝た時間、ミルクを飲んだ時間など、さまざまな育児情報を記録、管理できる。

 このアプリの育児ビッグデータを基に17年、国立成育医療研究センター(東京・世田谷)と共同研究を開始。2万人以上のモニターユーザーから集めた赤ちゃんの泣き声データとAI(人工知能)を掛け合わせ、泣き声から感情を分析する「泣き声診断アルゴリズム」を開発した。

 18年には「泣き声診断」と銘打って、育児アプリに実装。海外向けには新たに「CryAnalyzer」という名で専用アプリ化した。その後、泣き声のサンプルデータは世界中の約20万人にまで拡大。アプリを起動せずとも自動で診断できるよう、ハードウエア化したのが「CryAnalyzer Auto」だ。

 現状では、診断結果の精度は80%以上だという。さらに確度を高め、20年8月にまずは日本でリリース。その後、海外展開する計画だ。ファーストアセントとは日本語で「初登」。まだ誰も登っていないルートで登頂することを指す。アプリからハードウエアへ、一歩一歩エビデンスを積み上げ、この世になかった製品に到達した。

(写真/酒井大輔)

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