世界最大のデジタル技術見本市「CES」は2020年1月6日(日本時間1月7日)、メディアデーの後半戦がスタート。自動車部品・電動工具大手の独ボッシュはAI(人工知能)への積極投資を高らかに宣言した。AIを活用した世界初の「デジタルサンバイザー」からヘルスケア、宇宙まで。壮大な戦略が明らかになった。

ボッシュ取締役会のミヒャエル・ボレ氏は、AIへの投資を惜しまない姿勢を強調した
ボッシュ取締役会のミヒャエル・ボレ氏は、AIへの投資を惜しまない姿勢を強調した

2025年に全製品にAIを活用

 「2025年には、ボッシュの全製品にAIを活用する。信頼性の高い、有益なAIを構築し、AIの分野で技術革新のリーダーになる」。壇上に立った取締役会メンバーのミヒャエル・ボレ氏は力強く言い放った。トラクティカの調査によると、世界のAIソフトウエアの売上高は25年までに約1200億ドル(約13兆円)に達する見込み。ボッシュは、この巨大市場を成長のエンジンにする。

 ボッシュは現状でもAIに前のめりだ。インドのバンガロール、イスラエルのハイファ、米国のピッツバーグとサニーベール、ドイツのレニンゲンとテュービンゲン、中国の上海と、世界7都市に「AIセンター(BCAI: Bosch Center for Artificial Intelligence)」を展開。モビリティからスマートホーム、農業に至るまで実に150以上ものプロジェクトを走らせている。

 AIソフトウエアの開発に投じる予算は毎年37億ユーロ(約4500億円)。既に3万人以上のエンジニアを採用した。新たにトレーニングプログラムを策定し、「AIに精通した従業員を今後2年間で約2万人にまで増やす」(ボレ氏)という。

 その最前線となるのは、独テュービンゲンに1億ユーロ(約120億円)を投じて建設中の新たな「AIキャンパス」。22年末の稼働を予定している。スタートアップや研究機関とも手を組み、AI研究を本格化させる計画だ。

 今回のCESで世界初公開されるのは、その名も「バーチャルバイザー(Virtual Visor)」。1枚の透明なディスプレーパネルとカメラからなる全く新しいサンバイザーで、最大の特徴は、AIを活用していることにある。

「Virtual Visor」はディスプレーとカメラを組み合わせた
「Virtual Visor」はディスプレーとカメラを組み合わせた

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