VISITS Technologies(東京・千代田)は「コンセンサス・インテリジェンス(CI)技術」という独自のアルゴリズムを開発し、アイデアの価値を偏差値として算出できるようにした。その技術を用いた「ideagram(アイデアグラム)」「デザイン思考テスト」はデザイン思考の研修や人材採用などに使えると注目されている。

松本 勝(まつもと まさる)氏
VISITS Technologies CEO
東京大学大学院修了後、ゴールドマンサックス入社。金利オプショントレーディングの責任者を経て、2010年にAI(人工知能)を用いた投資ファンド設立。14年にVISITS Technologiesを設立してCEO(最高経営責任者)に就任。人のアイデア創造力、目利き力、アイデアの価値を独自の合意形成アルゴリズムにより定量化する特許技術「コンセンサス・インテリジェンス(CI)技術」を開発

ideagramを利用している企業数は、どれくらいですか。

2018年3月にオンライン形式でサービスを開始して以降、既に国内大手企業の100社以上が利用しています。使い方は簡単で、例えば「創造力」を評価するときは、アイデアの内容を入力してもらいます。そして参加した社員同士がそれぞれのアイデアを相互評価してideagramで偏差値として計算し、アイデアの序列を付けます。最も高い点数を取った社員が「目利き力」も高いとして重みを付け、再度ideagramで序列を計算します。これを何度も繰り返すと、誰のアイデアが最も高い評価を得て、誰が最も高い目利き力を持っているかが分かります。

 アイデアの絶対的な評価ではなく、参加した社員の中での偏差値の順位しか表示しませんが、アイデアの価値を見える化できるため、今までは評価しにくかったアイデアの価値が客観的な物差しで分かるようになる。デザイン思考に取り組む過程で発想したアイデアを評価する際に使えば、イノベーション創出の成功確率が高まります。評価の高いアイデアを、さらに議論して内容を高めて評価し、さらに高めていくことで、アイデアがどんどんブラッシュアップされます。

 社員の創造性やセンスは、今や企業にとって大きな価値と言えるでしょう。しかし定量化が難しかったため、感覚的な評価しかできませんでした。私は金融業界で数値解析などを手掛けてきたので、これを応用できないかと考えて「CI技術」と呼ぶ独自の合意形成アルゴリズムを開発し、偏差値としてアイデアの優劣を明確にできるようにしたのです。

社内の教育研修以外にも、どんな領域で使われていますか。

ideagramは企業内の社員向けですが、この仕掛けを使い一般受験向けに設計した「デザイン思考テスト」と呼ぶサービスを、新入社員の採用試験の一環として使う企業も増えています。自分で課題を見つけ、解決できる実行力がある人材を、どこも求めています。つまり「デザイン思考ができる人材が欲しい」という企業のニーズに対応し、新たに追加しました。19年3月から開始し、12月末までに約3万人の就活生がデザイン思考テストを受けています。

 ideagramとデザイン思考テストの違いは、企業向けにカスタマイズしているかしていないかの違いで、やっている内容はほぼ同じです。ideagramは企業側で業界特有のテーマやキーワードを決めますが、デザイン思考テストは当社で決めるので、業界にかかわらず客観的に創造性を判断できます。業界内で新規事業を考えるにはideagramがいいでしょうが、純粋に創造性を評価したい場合はデザイン思考テストを勧めています。

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