デザインシンカー育成に向け、アートに期待するのがアクセンチュアだ。“部活動”としての「芸術部」に加えてイノベーション拠点を絵画で飾るなど、アートに接する機会を増やした。これが一つのきっかけとなり、「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代で何をすべきかを自由な発想で一緒に考えてほしい」と相談されるなどの効果を生んだ。

芸術部が企画したイベントの1つ。「人工知能(AI)×音楽演奏」という切り口で、演奏家の脳波を測定しながら生演奏してもらった(写真提供/アクセンチュア)
芸術部が企画したイベントの1つ。「人工知能(AI)×音楽演奏」という切り口で、演奏家の脳波を測定しながら生演奏してもらった(写真提供/アクセンチュア)

 2019年12月9日。業務終了後の午後7時になると、東京・麻布十番にあるアクセンチュアのイノベーション創出拠点「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」で、クラシック音楽の鑑賞講座が開催された。イベントのタイトルは「『W.A.モーツァルト:ピアノソナタ第11番 イ長調 K.331 第3楽章』-知ってしまえば“呪文”には感じない。」で、クラシックの基本知識を学ぶ初心者向けの内容だ。モーツァルトのピアノソナタ第11番第3楽章とは「トルコ行進曲」として知られる曲で、イベントに参加したのはアクセンチュアの社員たちだ。

 これはアクセンチュアの「芸術部」と呼ばれる、いわば企業の“部活動”である。アクセンチュアには約40個の部活動があり、芸術部はその一つ。本来はアート好きな社員たちの集まりにすぎなかったが、デザイン思考やアート思考が新しい発想術としてメディアの話題になるにつれ、芸術部の活動が顧客企業から注目を集めるようになったという。

 「当社のような芸術部を立ち上げたいがどうしたらいいか、という質問が、最近はたくさん来る」。芸術部に所属してイベントの企画などを担当するアクセンチュア デジタルコンサルティング本部の佐藤守シニア・マネジャーはこう話す。デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代に対応せよと言われても、具体的に何をすべきか分からないという企業は多い。デザイン思考への取り組みも広がってきているが、アート思考に対しても、新しい発想を導くきっかけになるのではないかという期待があるようだ。

 アクセンチュアはコンサルティングの方法論として既にデザイン思考を取り入れ、デザインシンカーを育成しようとしている。そのなかで明確にアートを位置付けているわけではない。佐藤氏も、「芸術部の活動は、アート業界の関係者との交流や自分の創造力を活性化するためで、イノベーション創出などを狙った取り組みではない」と言う。だが、「アートに触れることで感性が磨かれ、物事の本質を見抜く力などが深まっていると感じるなど、自分の仕事にも役立っている」とも話す。

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