業界に先駆けて年会費無料のカードを発行し、2002年にはポイントの有効期限もなくしたセゾンカードが、ポイント事業の大胆な改革に乗り出している。独自サービスをいち早く打ち出し続け、クレジットカード業界のキープレーヤーであり続ける同社。ポイント事業でも会員の心をつかむ新手を次々と繰り出している。

クレディセゾンは永久不滅ポイントを使えるサービスを拡充している
クレディセゾンは永久不滅ポイントを使えるサービスを拡充している

 ポイントの有効期限がない「永久不滅ポイント」で知られるセゾンカード。基本的にカード利用1000円に付き1ポイントたまり、ポイントの利用法は金券、マイルなどへの交換、カード利用代金への充当、商品への交換など多彩だ。期限切れでポイントを失う心配をせずに、目的の商品などに変えられるまでため続けられる点が人気の理由だ。

 ただ、この永久不滅ポイントは他社にほとんどまねされていない。追随が出にくい理由は、財務的な負担が重いためだ。これまで多くの企業は、ポイントの未使用残高を「ポイント引当金」として計上してきた。その際、一定の失効が見込まれる場合はその分を割り引いて計上できる。一方永久不滅ポイントは、退会されるケースを除いて失効しないため、ほぼ100%を引き当てる必要がある。

 実際、カードを発行するクレディセゾンのポイント引当金は19年3月末で約1049億円もある。10年前の09年3月末は半分の約535億円だったので、平均すると毎年約50億円が積み増されている計算になる。

クレディセゾンのポイント引当金の推移
クレディセゾンのポイント引当金の推移
付与するポイント数に対して使われるポイント数は少なく、ポイント引当金の残高は年々増加の一途をたどっている(数値は3月末)

上限1000億円に押さえるために打った一手

 クレディセゾンの中岡淳ポイントビジネス部長は、「世間から見れば多いと感じられるかもしれないが、バランスシート上はそれほど大きくなく重荷ではない」と話す。ただポイント引当金が1000億円に達したこのタイミングで、単体で2662万人もいる会員がポイントを“死蔵”させたままにしないように積極的に消費を促す方向にかじを切ることを決めた。

 具体的には、ポイント交換サイトを19年12月に一新し、「STOREE SAISON(ストーリーセゾン)」と名付けた。アイテム数を以前の5倍の1700アイテムに拡充し、生産者の思いを伝えるページなども新設した。サイトのバナーには「永久不滅ポイントが使えるお店」と掲げられ、各アイテムの価格はポイント数ではなく円で表記されている。

 以前のポイント交換アイテムと大きく異なるのが、ポイントとカード払いを組み合わせることが可能な点だ。100ポイントを450円相当として支払いに充当できる(一部、ポイント交換限定アイテムもあり)。楽天市場やヨドバシカメラなどのECサイトに近い使い勝手を実現した。

ポイントだけでなく、カード払いを併用してアイテム交換できるようになった
ポイントだけでなく、カード払いを併用してアイテム交換できるようになった

 実は同社の会員は、ポイント交換の際に8割近くがAmazonギフト券などの金券に変えていたという。金券は使い勝手がいいことに加え、200ポイント(900~1000円相当)単位で交換できハードルが低いからだ。一方、商品を選んだ場合は送料などのコストがかかるため、交換に400ポイント以上が必要になってしまう。

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