2020年、ポイントやマイルを取り巻く環境が激変し、各社は大胆な戦略変更へ打って出る。象徴的な“事件”は、KDDIが「au」ポイントプログラムを共通ポイント「Ponta」へと統合することだ。背景にあるのは、国際会計基準(IFRS)への対応だ。“ためる”から“使ってもらう”姿へUXを変革しつつ、キャッシュレス決済との融合も図る。勢力図が大きく書き換わりそうだ。

2019年12月16日に「Pontaポイント」と「au WALLET ポイント」の統合が発表された。左からロイヤリティ マーケティング(東京・渋谷)長谷川剛社長、ローソン竹増貞信社長、KDDI髙橋誠社長、三菱商事コンシューマー産業グループ京谷裕CEO
2019年12月16日に「Pontaポイント」と「au WALLET ポイント」の統合が発表された。左からロイヤリティ マーケティング(東京・渋谷)長谷川剛社長、ローソン竹増貞信社長、KDDI髙橋誠社長、三菱商事コンシューマー産業グループ京谷裕CEO

 2019年の暮れも押し迫った12月16日、ポイント業界を揺るがす大再編劇が公になった。共通ポイント「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティング(東京・渋谷)とKDDIが資本提携し、20年5月以降にKDDIのポイントサービス「au WALLET ポイント」がPontaへと統合される。

 現在、共通ポイントと呼ばれているのはPontaの他、「Tポイント」「dポイント」「楽天スーパーポイント(以下、楽天ポイント)」の4つ。Tポイントはソフトバンクと提携しており、dポイントはNTTドコモが運営。楽天は20年にも携帯キャリア事業に本格参入する予定だ。今回の提携によってPontaがKDDI陣営に加わり、共通ポイントは「NTTドコモ」「KDDI」「ソフトバンク」「楽天」の携帯キャリアごとに4陣営に色分けされる。各携帯キャリアは、巨大なポイント会員基盤を生かし、キャッシュレス決済サービスやECサイトといった自社グループのサービスへの送客を本格化させることになる。

共通ポイントは携帯キャリアごとに色分けされる
共通ポイントは携帯キャリアごとに色分けされる

 KDDIの髙橋誠社長が提携発表の記者会見で何度も強調したのが、KDDIのコード決済「au PAY」でPontaをためたり使ったりできるようになることの意義だった。「決済手段としてのコード決済に焦点が当たりがちだが、そこにひも付いている口座にどうお金を流し込むかが重要。au PAYの利用時にPontaをためたり、使ったりできるようになることで、PayPayに対する大きな対抗軸になれる」(髙橋氏)。

 Pontaとローソンのアプリにau PAY機能を実装し、KDDIの「au WALLET アプリ」にはデジタルPontaカード機能を実装することが決まっており、ポイントと決済の融合が進む見込みだ。

 Pontaの会員数は19年11月末で約9283万人。ポイント加盟店数は約22万店(19年12月現在)という。社会に深く浸透する共通ポイントの会員基盤は、新しい決済手段を普及させていくうえで重要なピースだ。ポイント付与と決済が一度で済めば、ポイントカードとスマホアプリを別々に提示するという日本特有の不便さが解消され、コード決済を普及させる起爆剤になり得る。

 携帯キャリアはこれまえで経済圏の拡大競争を繰り広げてきたが、今後は「ポイント+決済」という新たなUX(ユーザーエクスペリエンス)を通じていかに利用者の囲い込みを図るかが主戦場になりそうだ。

KDDIが「Ponta」にポイント会員基盤を統合することで、携帯電話会社の経済圏争いの構図が大きく変わる
KDDIが「Ponta」にポイント会員基盤を統合することで、携帯電話会社の経済圏争いの構図が大きく変わる

還元“お祭り騒ぎ”の行きつく果て

 共通ポイントはもともと、異なる加盟店の間での相互送客や、業界をまたいだ購買データ分析などに主眼が置かれていた。Tポイントはレンタルビデオチェーン「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、Pontaはコンビニエンスストアのローソンが主体。リアルに強みを持つ両社が二分する形で、リアルな加盟店を続々と獲得していった。

 続いて14年に楽天が「楽天ポイントカード」の発行を始め、リアル店舗でも楽天ポイントをためたり使ったりできるようにした。翌15年にはNTTドコモが、自社のポイントプログラムを回線契約者以外にも開放し、共通ポイントの1つとして名乗りを上げた。有力な小売りの多くは既にTポイントやPontaに加盟していたため、この2社は他のポイントとの重複加盟を認める戦略を打ち出した。

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