「世界一面白いお店」を自称するニューヨーク発の「SHOWFIELDS」と、テキサス発の「Neighborhood Goods」――。D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)型ビジネスモデルの次の一手と目される「D2C百貨店」を展開する2社のトップが大規模イベント「NRF 2020: Retail's Big Show & Expo」に集結した。この注目2社が展開する消費者の心を捉える巧みな戦略を、現地NYの店舗視察を交えて、解き明かしてみよう。

「NRF 2020: Retail's Big Show & Expo」の開催前日、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の百貨店とも称される「SHOWFIELDS」には多くの小売り関係者が訪れていた。ニューヨークで注目の店舗の1つだ
「NRF 2020: Retail's Big Show & Expo」の開催前日、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の百貨店とも称される「SHOWFIELDS」には多くの小売り関係者が訪れていた。ニューヨークで注目の店舗の1つだ

 SHOWFIELDSはニューヨーク NOHO(ノース・オブ・ハウストン・ストリート)地区にある1913年築の古い建造物を改装した、4階建てのデパートメントストアだ。営業開始は2018年12月。ビルの1~3階が展示販売、4階がイベントスペースとなっている。注目すべきは、1日に複数回行われるショー形式のツアーだ。俳優らが、演技を交えて取り扱うブランドの商品を紹介する。

 米ショーフィールズCEOのタル・ズヴィ・ナサネルCEOは創業の理由について、店舗の価値の見直しを挙げる。その背景にあるのが、D2Cブランドの勃興だ。近年、増加傾向にあるD2Cブランドは、市場に出回る既存商品の課題を取り除くために開発された商品が多い。デジタルを販売の主戦場とし、店舗を持たないことで販売に関わるコストを大幅に抑える。その分の資産を商品開発に当てる。よって、安価かつ高品質な商品作りを実現できている。

NRF2020に登壇した米ショーフィールズのタル・ズヴィ・ナサネルCEO(最高経営責任者)
NRF2020に登壇した米ショーフィールズのタル・ズヴィ・ナサネルCEO(最高経営責任者)

 安価な定額制かつ自宅に届くサブスクリプション型という利便性を組み合わせることで、大手メーカーが独占していた髭剃り市場に風穴を開けた米ダラー・シェイブ・クラブが好例だ。同社は英蘭ユニリーバが10億ドルで買収した。

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