全米小売業協会(NRF)が主催する小売り分野の大型イベント「NRF 2020: Retail's Big Show & Expo」。2020年1月12~14日の会期中に100カ国以上から4万人が参加した。今年は、400人を超える講演者に「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」の関係者が多く名を連ねているのが印象的だった。一方で大手企業は「パーソナライゼーション」や「体験」を重視する傾向が浮かび上がった。
「消費者に力を与える方法で、物理的およびデジタル小売りの再考が始まっている。この革命はまさに始まったばかりだ」
NRFのクリス・バルドウイン会長によるオープニングセッションで、イベントは幕を開けた。バルドウイン氏は「消費者の83%が、5年前よりも『利便性』が重要だと感じている。ナイキの(ニューヨークにある)旗艦店は、(店員を介さない)簡単な決済機能や、店頭にいながらロッカーで商品を受け取れるサービスで“摩擦”の少ない買い物体験を提供。若年層は『パーソナライズ』された商品を特に好むことが分かっている」と小売業界のトレンドを説明する。
デジタル技術の活用で消費者主導の購買体験を提供することが、バルドウイン氏の言う「消費者に力を与える」ことの意味だろう。
消費者に寄り添うことを狙ったデジタル活用によるブランド作りや購買体験の提供で、急成長を遂げているのがD2Cだ。D2Cアパレルブランド「Bonobos」や、20年1月10日に東京・原宿に出店して、日本上陸を果たしたD2Cスニーカーブランド「Allbirds」といったD2Cブランドが、NRFに登壇した。商品を仕入れて売る従来型の小売店だけではなく、製販一体型で、デジタルを活用した新しい購買体験を作りだしているブランドが、小売業界でも注目株であることが理解できる。
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