データ活用支援ベンチャーのギックス(東京・港)が、NTTドコモの「モバイル空間統計」などの既存データを組み合わせ、機械学習で統合することで、土地(エリア)の価値を“見える化”する新サービス「トチカチ」を2019年12月から提供し始めた。JR西日本などが既に採用を決めるなど、引っ張りだこになっている。

「DOCOMO Open House 2020」の会場に出展したギックスのブース。「トチカチ」の説明を求める人が引きも切らない
「DOCOMO Open House 2020」の会場に出展したギックスのブース。「トチカチ」の説明を求める人が引きも切らない

 「思いの外、盛況で休憩する暇もないほどです。500メートルメッシュ(四方)のエリア内に、例えば曜日ごと、時間帯ごとにどんな人が往来しているのか。ビジュアルで分かりやすく、それもエリアを指定して数秒で表示されるところに、皆さま、興味を持たれているようです」

 5G時代の新しいビジネス・サービスの協創を狙い、パートナー各社を募ってNTTドコモが2020年1月23日、24日に都内で開催した「DOCOMO Open House 2020」──。ここに出展したデータ活用支援ベンチャーのギックス(東京・港)の管理部CEO Office Lead兼管理副本部長の加部東大悟氏は、こう語る。

 加部東氏が「想定以上の反響」と胸を張ったのは、ギックスが19年12月から提供し始めた新サービス「トチカチ」のこと。ドコモ・インサイトマーケティング(東京・港)が提供する「モバイル空間統計」のデータを用いた位置情報などを活用して、これまであまり知られてこなかった土地(エリア)の新しい価値を“見える化”するサービスだ。

ドコモの「モバイル空間統計」のデータを活用

 トチカチが活用するモバイル空間統計のデータは、15年1月以降の4年分の過去データと、サービス開始後1時間ごとに更新されるデータ。過去の動向に加え、最新の変化も押さえられる。これに、米IBM系のThe Weather Companyが提供する天候情報、ゼンリンと提携した米MapBoxが提供する地図情報などを統合し、500メートルメッシュのエリアに関する情報を提供する。

あるビジネス街で、2017年1月から18年12月までの往来する人々がどのように変化したかを性・年代別に示したイメージ画面
あるビジネス街で、2017年1月から18年12月までの往来する人々がどのように変化したかを性・年代別に示したイメージ画面

 具体的には、時間帯別のエリア人口の推移や、曜日、天候などによる人口の変化、往来している人々に占める居住者の割合などについて、性・年代別に示すことができる。

ある地方都市で、17年1月から18年12月までの時間帯別(昼食時、夕食時、就寝時)の人口のありようの推移を示したイメージ画面
ある地方都市で、17年1月から18年12月までの時間帯別(昼食時、夕食時、就寝時)の人口のありようの推移を示したイメージ画面

そのエリアの人の動きのトレンドを示せる

 データを示す際の大きな特徴は、統合したデータを機械学習(マシンラーニング)で要素に分解し、それらを分析することで全体の傾向を示せることだ。例えば、上記のグラフに示された補助線は、通常の折れ線グラフにありがちな移動平均ではない。機械学習で曜日やイベント、天候といった要素の影響を排除した「そのエリアのトレンド」を示している。

ある繁華街で、曜日やイベント、天気などにより人々の往来がどう変わるかを示したイメージ画面
ある繁華街で、曜日やイベント、天気などにより人々の往来がどう変わるかを示したイメージ画面

 また、このとき排除した各要素については、天候の影響(例えば、晴れた日のほうが往来の人口が増す)、曜日の影響(例えば、水曜だけ突出して往来する人口が増える)、イベントの影響(例えば、ハロウィーンに比べてクリスマスは人出が多い)のように、切り分けて表示することもできる。

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