店舗を訪れる顧客は本当に広告を見て足を運んでいるのか――。特集の第4回で取り上げるのは、家具・雑貨店を運営するFrancfranc(フランフラン、東京・渋谷)。同社は無線LAN(Wi-Fi)による位置情報マーケティング(ジオマーケティング、ジオマ)でデジタル広告の効率的な配信施策を模索している。

Francfrancの店舗はビルイン型が多い。写真は青山店
Francfrancの店舗はビルイン型が多い。写真は青山店

 Francfrancが位置情報をマーケティングに取り入れたのは、2018年の11月。広告施策の転換が1つのきっかけだ。

 Francfrancはそれまであまり広告を出してこなかった。同社の顧客は20代~30代の女性が中心。彼女たちが立ち寄りやすい立地に出店し、魅力的な店舗作りや商品でブランドの認知を高めてきた。

 だが「今後は広告による認知向上、来店誘導に力を入れる」と同社商品本部MD部の奧野悠一部長。FrancfrancはECも展開しているが、売り上げの9割を占めるのは実店舗だ。「もっと規模の大きな小売りなら、ECに注力し、顧客の購買行動自体を変革する取り組みもできるだろうが、Francfrancはそこまでではない。まずは主力の実店舗で来店客数や売り上げを伸ばしていきたい」(奧野氏)。

 ただ、デジタル広告からサイトへの流入を計測できるECと違い、実店舗では広告による集客効果を測るすべがない。「広告を目にした人が来店してくれたとして、それが広告を見たからなのか、見ていなくても来てくれる人だったのか実際のところは分からない」(奧野氏)のが実情だ。

 そこで奧野氏が目を付けたのが位置情報を使った来店計測だった。自社の広告を見た人と無関係の広告を見た人の来店率を位置情報から分析し、比較する。「もし前者のほうが高ければ、その分、広告によって来店者を増やせたことになる」(奧野氏)と仮説を立てた。

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