位置情報マーケティング(ジオマーケティング、ジオマ)の最新事例を追う特集の第2回はアサヒビールだ。同社は2019年のキャンペーンで一部チェーン店の商品棚にビーコンを設置。キャンペーン情報などを配信した。ビーコンを設置した店からの登録数は非設置店の約3倍に達したという。店頭POPやポスターと併用し、売り場で直接応募を働きかけることで、キャンペーンの認知を高め、購買のきっかけにつなげた(関連記事:「場所」から顧客を理解するジオマーケティング)。
アサヒビールが採用したのは、LINEが提供する「LINE Beacon」だ。LINE Beaconとは、「ビーコン」と呼ばれる小型機器からBluetoothを介してLINEのアプリに情報を発信する仕組み。スマートフォンのBluetoothとLINE Beacon受信機能をオンにしているLINEユーザーがビーコンの通信範囲内に入ると、LINEアプリがサーバーと通信し、キャンペーン告知やクーポンなどの情報を受信する。
ビーコン自体、新しい技術ではないが、近年は小売業などを中心にニーズが高まっている。背景にあるのは、幅広い年齢層にスマートフォンが普及したこと。加えて、バッテリーの大容量化やBluetoothの省電力化、ワイヤレスイヤホンなどのBluetooth機器が一般化したことで、Bluetoothをオンにしたままの人が増えた。ビーコンの電波を受信しやすい環境が整っている。
LINE Beaconのビジネス活用などを担当するLINEマーケティングソリューションカンパニーの江田達哉氏は、「これまでトライアルの位置づけでサービスを提供し、活用シーンを模索してきたが、20年からは本格的に拡販したい」と話す。
POPでは必ずしも消費者に届かない
アサヒビールは、19年に行った3つのキャンペーンでこれを利用した。このうち19年8~10月にライフや西友など110チェーン2万7000店を対象に実施したキャンペーンでは、一部チェーン店の商品棚にビーコンを設置。LINEでアサヒビールのアカウントと「友だち」になっている来店客が棚に近づくと、ビーコンからキャンペーン情報が届くようにした。対象店舗で対象商品を購入したレシートを送ると、商品券やポイントなどが当たる。
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