アスクルの商品開発の裏側に迫る本連載。今回は、アスクルが主催する「暮らしになじむLOHACO展」に向けて王子ネピア(東京・中央)と共同開発したティッシュペーパー「nepia FIT LDK(フィットエルディーケー)ティシュ」を取り上げる。消費者調査から見つけたヒントを基に、ティッシュの定石を打ち破る、三角形や薄型などの斬新な形状のパッケージを開発した。
鼻をかむだけでなく、ぬれた手を拭いたり、ほこりを取ったりと、生活の必需品であるティッシュペーパー。近年は、紙の箱ではなくフィルム包装のタイプなども販売されているが、直方体の形状は長年ほぼ変わらない。コスト面をはじめとする理由から、これまでティッシュの形状に関する改良は、各社とも積極的ではなかった。しかし、「一律150~200組(300~400枚)のティッシュを詰めた直方体の形状が果たして今の生活にベストなのかという視点が今回の商品開発の起点となった」と、アスクル マーチャンダイジング本部LOHACO生活用品統括部の古村葉月氏は話す。
アスクルでは、毎秋にメーカーと共同開発した商品を展示する「暮らしになじむLOHACO展」(2020年は11月17日〜12月16日、オンライン限定開催)を主催している。その出展に応じ、王子ネピアと共同で開発したのが、新しい発想でつくられた5種類の形状のティッシュを一箱に詰め合わせた「nepia FIT LDK(フィットエルディーケー)ティシュ」だ。商品名は、日本の住環境の中で、家族の生活シーンにフィットするというコンセプトに由来している。
19年の大容量“クラフト”ティッシュから見えた可能性
開発のきっかけになったのは、19年のロハコ展で開発された商品「nepia krafco(クラフコ)」の振り返りだ。920組を包んだ大型クラフト紙からそのままティッシュが取り出せ、減ったら外装紙をくるくると巻いてサイズを調整する他にはない斬新な仕組みで、消費者の評判も良好。顧客からの感想を分析したマップ(下図)からも、「交換の手間が省ける」「エコにつながる」「袋のデザインがかわいい」といった好意的な意見が多いことが分かる。だが一方で、実際に届いてみて思った以上に大きかったという声もあり、「高さ」や「サイズ」、「邪魔」という声も少数ながら見られた。「今年のロハコ展のテーマの1つに『暮らしのお悩み解決』があり、このサイズや大きさという点で、次の商品開発の伸び代があると感じた」(古村氏)。
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