アスクルの商品開発の裏側に迫る本連載。今回はスポーツ時の水分補給としてはもちろん、熱中症対策として注目を集めている「イオンチャージinウォーター」を取り上げる。珍しいポーションタイプで、水さえあれば簡単にドリンクをつくれてミネラルを補給できることから、スポーツシーン以外でも利用者が増えている。

アスクル、ロハコで販売中のオリジナル商品「イオンチャージinウォーター」。メロディアンと共同で開発した。ロハコでは1袋30個入りで税込み960円
アスクル、ロハコで販売中のオリジナル商品「イオンチャージinウォーター」。メロディアンと共同で開発した。ロハコでは1袋30個入りで税込み960円
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 スポーツ時の水分補給や熱中症対策として人気のスポーツドリンク。保存のしやすさから、粉末や缶入りの希釈タイプも人気だ。そんな中、アスクルがコーヒーフレッシュ大手のメロディアン(大阪府八尾市)とのコラボレーションにより開発した、ハイポトニック飲料「イオンチャージinウォーター」が、売り上げを伸ばしている。

 最大の特徴は、ポーションタイプであること。保存性・携帯性に優れる上、粉末タイプより溶けやすく、冷たい水でも利用できる。ペットボトルの水に直接入れてドリンクがつくれるので簡便だ。2015年8月より販売していたメロディアンのNB商品「Quick Sports Drink」や「ミネラルドリンクの素」に対する顧客の声および従来のスポーツドリンクに対する困りごとなどを参考に、オリジナル商品として一新。発売後3カ月の実績で、NB商品の約1.9倍の数量を販売するなど、好調に推移している。

「軽い運動向け飲料」の伸びに着目して開発

 アスクルがスポーツドリンクに目を付けたのは、需要の増加が背景にある。近年、スポーツドリンク市場は拡大傾向。スポーツ熱の高まりに加え、熱中症対策として日常利用されるようになるなど、用途が広がっているためだ。総務省消防庁の調査によると、5月~9月における熱中症による救急搬送人員の累計は18年が9万5000人超。熱中症はもはや社会問題となっている。

 そんな中、BtoB向けのアスクルと個人向けのロハコでも、スポーツドリンクは好調に推移。特に、その中でも伸びていたのが、軽い運動時に向いているとされるハイポトニック飲料だ。

 スポーツドリンクは、糖分濃度が比較的高く、激しいスポーツをする人向けのアイソトニック飲料と、糖分が控えめで軽い運動をする人向けのハイポトニック飲料に大きく分けられる。アスクルとロハコで、大手のアイソトニック飲料とハイポトニック飲料の販売量の伸びを15年と18年で比べたところ、ハイポトニック飲料の伸びが著しいことが分かった。そこで、今回のオリジナル商品開発では、ハイポトニック飲料をターゲットとすることにした。

アスクル(BtoB)とロハコにおける、大手ブランドのアイソトニック飲料とハイポトニック飲料の販売量の変化(15年と18年の6~8月度の売り上げ比較:容量500ミリリットル)
アスクル(BtoB)とロハコにおける、大手ブランドのアイソトニック飲料とハイポトニック飲料の販売量の変化(15年と18年の6~8月度の売り上げ比較:容量500ミリリットル)
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