人工知能が野菜を管理

【AIセキュリティー】

 クラウド、モバイル、IoTといったITの進化により、あらゆるシーンで情報が収集できるようになった現代において、AI技術を活用する場も広がりを見せている。セキュリティー分野もその一つで、高度化・複雑化が進むサイバー攻撃を防ぐためにはAIの活用が不可欠となりつつある。標的型攻撃やランサムウエアなど、特定の組織を狙った金銭目的の脅威が増加する状況では、従来のようなマルウエア対策だけでは十分とはいえない。機械学習とAIを利用して高度な脅威の検知と防御を実現し、未知の脅威にまで対応するセキュリティー対策が求められている。セキュリティー担当者のリソースが限られている状況下で、組織内のPCやサーバーだけでなく、IoTやクラウドサービスなども防御するにはAIのサポートが不可欠だ。

 近年では、AIや機械学習、ディープラーニングプラットフォームを活用したセキュリティーソリューションも一般的なものとなった。サイバー攻撃の防御や予測分析をはじめ、マルウエアやウイルスなどに感染した場合の自動対応支援など、様々な状況におけるリスク軽減を実現。さらに、顔認証システムや移動追尾システムなど、現場にあるカメラを活用したセキュリティー対策にもAIの技術が活用されている。

 このように、AIとセキュリティー対策は密接な関係を持つようになったが、実はAIの進化は攻撃者にも恩恵をもたらしていることにも注意が必要。AIによる分析でセキュリティーを突破しハッキングを行うなど、AI技術を悪用したサイバー攻撃も登場してきている。攻撃側と防御側の双方がAIの活用を模索していく状況は今後も続いていきそうだ。

【オンデバイスAI】

 AIには、処理をクラウド上で行うタイプと、デバイス上で行うタイプの2つが存在する。AI専用チップを搭載するグーグルのスマートフォン「ピクセルシリーズ」は後者の「オンデバイスAI」の製品だ。

 エッジコンピューティングの概念にAIを組み合わせたオンデバイスAIはネットワークを介さずに利用できるため、リアルタイム性が高い。また、データをクラウドにアップロードしないため、プライバシーを担保できるなど数々のメリットを持っている。スマホに搭載されたオンデバイスAIは、カメラ機能に活用されるケースが多く、AIによる環境の検出や最適化で高品質の写真が簡単に撮影できるようになる。もちろん音声認識など、様々な処理にも利用可能だ。

オンデバイスAIを活用して高精度な写真撮影を実現しているGoogleの最新スマートフォン「Pixel 4」
オンデバイスAIを活用して高精度な写真撮影を実現しているGoogleの最新スマートフォン「Pixel 4」

【スマート農業】

 フィンテック(金融×IT)やフードテック(食×IT)、エドテック(教育×IT)など、特定の分野におけるテクノロジーの活用が注目を集めているが、その一つがアグリテック(農業×IT)、いわゆる「スマート農業」と呼ばれる新たな分野だ。

 他業種と同様、少子高齢化による人手不足が深刻な農業分野では、ITの活用が急速に進んでいる。IoTを活用した農業向けのセンシング技術をはじめ、農業用ドローンによる農作業の自動化、AI技術を利用した生産の効率化・高品質化や農業技術の継承など、農業現場の課題を解決するためのテクノロジー活用範囲は多岐にわたる。IT企業が農業に参入するケースも増えてきており、先進テクノロジーを効果的に活用できる分野として注目度は高い。ビッグデータ分析による“見える化”も可能となり、農業経営の安定化を実現。近年では、生産者から流通、小売り、消費者までをつなぐ「食のサプライチェーン」にITを活用する動きも活発化しており、ブロックチェーンを活用した管理システムなどトレンドサービスが向上し、流通の透明化も進行している。

 ITが広く浸透したことで、ベンチャー企業や新規就農者の参入ハードルは下がっており、人材確保や収益増加も実現してきている。稲作・穀物・野菜・果樹などの分野だけにとどまらず、畜産農業向けのソリューションも増加してきており、ITによる省力化・安定化・高品質化といった効果は農業分野全体に広まりつつある。

「ゼロアグリ」(ルートレック・ネットワークス)は、ハウス作物の育成状況をAI分析し、成長に合わせて水や肥料を自動調節する
「ゼロアグリ」(ルートレック・ネットワークス)は、ハウス作物の育成状況をAI分析し、成長に合わせて水や肥料を自動調節する