※日経トレンディ 2020年1月号の記事を再構成

厳選したキーワードから、近未来の日本に起きることを予測する特集の最終回は「人工皮膚・人工毛髪」。人工皮膚は、小型機器で極細繊維を肌に吹き付け、極薄膜を作るというもの。美容液との組み合わせたスキンケアの他、メークやアートの分野への応用も考えられる。

人工皮膚・人工毛髪が美容を変える!
1 肌上の極薄膜で効果的にスキンケア
2 シミやタトゥーは“貼って”隠す
3 髪形を変えられる便利なウィッグも

 「このテクノロジーで、肌の悩みや苦しみを解決したい」。2019年12月4日に花王が発売したスキンケア製品の新技術「ファインファイバーテクノロジー」について、同社の澤田道隆社長は大きな可能性を見いだす。この技術は、小型機器を用いて1マイクロメートル以下の極細繊維を肌に直接吹き付け、積層型の極薄膜を作るというもの。おむつや生理用品などの不織布研究から生まれた技術を転用した。肌の表面にごく自然に膜が密着している様子は、まさに“人工皮膚”あるいは“第2の皮膚”と表現できそうなものだ。

 新製品「バイオミメシス ヴェール」は、この極薄膜と美容液とを組み合わせ、就寝中に顔の肌の湿潤環境を整え続ける。膜は肌の3次元形状に対応し、表情などの動きにも追従するため、剥がれにくい。湿潤マスクを1晩中貼っているようなイメージに近い。そうして寝ている間に十分な潤いを肌に与え、翌朝目が覚めたら手で膜を剝がして、普段通り洗顔すればいい。

 「技術としては、スキンケアの他にもメークやボディーケア、アートといった分野への応用も考えられる。また将来的には、医療領域での展開も目指したい」と澤田社長は展望を語る。

 肌ケア 
顔に吹き付けた極細繊維が膜に。寝ている間、潤い環境が続く

 バイオミメシス ヴェールはestブランドとSENSAIブランドから19年12月に発売。ファインファイバーテクノロジーを応用した第1弾製品で、肌表面に形成した極薄膜が寝ている間も長時間密着し、美容液を肌に浸透させたまま湿潤環境を整える。小型機器で極細繊維を肌に吹き付けた後に手でなじませると、膜はほとんど目立たなくなる。小型機器の開発はパナソニックが協力。

小型機器と膜を作る化粧液、美容液の3点で初期費用計7万円(税別)という高級化粧品だ
小型機器と膜を作る化粧液、美容液の3点で初期費用計7万円(税別)という高級化粧品だ

 20年以降は、こうした“人工皮膚”技術を応用した製品・サービスが相次ぎ登場し、美容の新たなジャンルを形成することが見込まれる。資生堂が開発中の「セカンドスキン」も、近い将来の製品化が期待される注目技術。米国のスタートアップ企業から18年に事業買収したもので、特殊なポリマーを配合したクリームと専用の乳液を肌に重ねて塗ると、瞬時に肌と一体化し、凹凸を補正してシワやたるみを隠せる。美容成分を肌にとどめておく機能にも優れ、スキンケアや日焼け止めなどの展開を視野に入れている。

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