※日経トレンディ 2020年1月号の記事を再構成
厳選したキーワードから、近未来の日本に起きることを予測する特集の6回目は、「空の産業革命」。ドローン配送や空飛ぶタクシーにより、届け先や行き先の自由度が拡大し、移動時間も高速化。空がインフラ化される時代が近づいている。
2 空飛ぶタクシーで、移動が超高速化
3 空がインフラ化され、誰もが“飛べる”時代
「有人地帯での目視外飛行の目標時期を2022年度目途とする」。ドローンに関して、政府が19年6月に閣議決定した成長戦略実行計画の一節だ。政府はこの目標に向けて法整備やルール作りを加速。あと2~3年ほどで、有人地帯(都市部を含む人が住む地域)の上空を、ドローンが目視外、つまりその場に操縦者がいなくても飛べるようになり、様々な革新的サービスが花開く。
中でも一般向けで拡大が見込まれるのが、ドローンによる配送だ。過疎の地域や離島、山間部などの無人地帯では、自治体や企業が実証実験を本格化。例えば、ANAホールディングスはLINEの子会社などと組み、19年夏に、福岡市の離島・玄界島から海産物を最大約10km離れた海水浴場などに運ぶ実証実験を敢行。「玄界島から2つのエリアに向けて2機を同時に飛ばすなど、実サービスを見据えたテストを行った」(ANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボの保理江裕己氏)。
また、楽天は、19年夏に神奈川県横須賀市の無人島・猿島で、観光客向けに日本初の離島へのドローン配送の商用サービスを展開。配送料は1回500円(税込み)で、猿島のビーチからアプリで注文すると、対岸のスーパーマーケットから商品が“飛んでくる”。生鮮品や飲料など約400品目が対象で、片道約1.5kmの距離を約5分で飛行した。夏の3カ月間限定サービスだったが、非常に好評。「実証実験からサービスを展開していくフェーズに来ており、今後はより長期間の定常運行を目指していきたい」(楽天ドローン・UGV事業部の谷真斗氏)。当面は、現行制度内で飛ばせる無人地帯、例えばビーチやキャンプ場、ゴルフ場、山小屋などアウトドアシーンでの利用が中心。規制緩和とともに都市部へ広がる見込みだ。
【ドローン配送】無人地帯で普及が加速。22年度以降には都市部へ
ドローンを利用した荷物配送は、離島や山間部などでは既に多数の実証実験が行われ、20年以降には続々とサービス化が見込まれる。その後、法整備が進む予定で、22年度以降には都市部など有人エリアでの配送も始まる可能性が高い。
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