特集「セールステック進化論」の第4回は「フィールドセールス」の領域のトレンドを解説する。フィールドセールスは文字通り訪問する実際の営業活動を指す。小売業者が言うところの「ラストワンマイル」に当たる営業の活動のデジタル化は大きな課題だった。バーコード決済サービス「PayPay」やダイハツ工業は、この領域のデジタル化に取り組んだ。ダイハツはセールステック導入部門の売り上げを1年で5.5倍にした。

バーコード決済サービス「PayPay」はセールステックを活用して、150万カ所の飲食店や小売店にサービスを導入して決済できる場を広げた
バーコード決済サービス「PayPay」はセールステックを活用して、150万カ所の飲食店や小売店にサービスを導入して決済できる場を広げた

 サービス開始からわずか1年で登録者数が1500万人を突破し、バーコード決済のトッププレーヤーとなったPayPay。2度の100億円還元キャンペーンなど、派手なプロモーションばかりに光が当たりがちだが、その裏でセールステックが活躍していたことはあまり知られていない。

 PayPayは決済サービスである以上、あらゆる場所で使えることが求められる。そうでなければ、到底財布の代わりにはなり得ないからだ。利用者を拡大する一方で、足で稼ぐ泥臭い加盟店開拓が求められた。その甲斐もあり、PayPayの加盟店は既に150万カ所に達している。この加盟店開拓に活用したのが、地図データと連携してルート営業を最適化するUPWARD(東京・中央)の「UPWARD」だ。280社超が導入している。

 特集の第3回で紹介したように、自社内で営業をするインサイドセールスに注力する企業が増えている(関連記事「オンライン商談やAI搭載電話… 次世代営業がもたらす劇的効果」)。一方で、「ビジネス上のコミュニケーションのオンライン化が進んでいるものの、実際に訪問する顧客接点が売り上げにつながる事業は根強く残る」(UPWARDの金木竜介社長)。例えば、食品メーカーの営業担当者は、今もせっせと小売店を回っている。それが取引につながるからだ。

 また、PayPayのようなサービスは、サービスそのものの価値で競合と差異化が図りにくい。そのようなサービスで他社と陣取り合戦をするような事業の場合、訪問営業が欠かせない。これまでは、そうした訪問営業のルートの最適化は行われてこなかった。理由は訪問履歴がリアルタイムでデータ化できていなかったからだ。すると、同じ企業の営業担当者が同日に時間差で訪問してしまうということも起こり得る。これでは、かえって悪印象につながりかねない。

 UPWARDはそうしたルート営業を最適化するツールを提供する。スマートフォン向けアプリ上で、見込み顧客のリストから訪問先を選び「訪問を開始する」ボタンをタップ。訪問終了後にアプリの終了ボタンをタップすると、訪問履歴として記録される。その後、簡単なアンケートに答える感覚で訪問履歴を登録できる。基本的にはCRM(顧客関係管理)サービスに登録されている名刺情報から、誰に会ったのか、何の目的で会ったのか、反応は良かったのかといった項目をチェックボックス形式で登録させる。

 PayPayなら、店舗の責任者などとの面会の有無、サービス説明の有無、他社サービス導入の有無などを入力するといった具合だ。より詳細な履歴を残したい場合は、音声入力にも対応している。

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