30万円という高額ながら大ヒットしている家庭向けロボット「LOVOT」(らぼっと)。一休の榊淳社長がLOVOTの開発・販売を手がけるGROOVE X(東京・中央)の林要社長を訪ね、LOVOTが持つ生き物感の正体について語り合った。
榊氏 前回に続いて、LOVOTが生まれた背景についてお聞きします。一休の場合、サイエンス、デザイン、エンジニアリング、ディレクションと、組織の機能は分かれていますが、互いにリスペクトし合うと、うまくいきます。逆にお互いの信頼感が失われると何をやっても駄目です。御社の場合、どのようにしてエンジニアとアーティストとの間に信頼関係を生み出しているのでしょうか。
林氏 私たちも最初はかなり苦労しました。アーティスト肌のクリエーターたちの言語とエンジニアの言語とが全く違っていて、同じ日本語なのに話が通じないからです。この解消に効果があったのは、途中で混成チームに変えたことです。大きくハードウエアとソフトウエアにチームを分けているのですが、アーティストとエンジニアは同じソフトウエアのチームにしています。
アーティストも簡単なコードを書いてプロトタイプをつくり、その後、エンジニアがリファクタリングして製品にしています。その際、エンジニアはアーティストがやりたいことを理解してコードを書きます。当社では比較的、多能工化が進んでいると言えるでしょう。
榊氏 アート畑の人は、積み上げではなくジャンプができる。そのジャンプ力は信じられないくらい仕事の効率を高めますね。
林氏 その通りです。エンジニアのアプローチは確実で再現性が高い分、遅いという欠点があります。一方のアーティストはとんでもない方向にいくときがある半面、方向が正しいときはエンジニアの何倍もの速さで正しい方向に進める。だから組み合わせると強いのです。
例えば製品に生き物感を出すには、ゼロコンマ数秒で反応しなければなりません。その基礎知識はエンジニアが提供するとしても、実現方法は無数にある。そうしたエンジニアの持つ知識を背景として形にするクリエーティビティーを持っているのがアーティストです。
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