ビジネスの新潮流を探るべく、ベンチャーキャピタル(VC)やスタートアップ支援企業を訪れる連載の4回目。Yahoo! JAPANのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)で、コンシューマー向けのネット系サービスの支援を得意とするYJキャピタル社長の堀新一郎氏に、今後有望なビジネスや注目テーマを聞いた。
—— YJキャピタルは、インターネットやモバイル関連の分野に注力して支援を行っていると思いますが、2020年以降の注目領域やスタートアップは?
堀新一郎氏(以下、堀) ここ数年、テクノロジー軸ではAI(人工知能)や音声、ブロックチェーン、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)、VTuberなどがバズワードとして注目を集めています。これらの技術が、具体的なサービスとなり、より一般化するのが20年以降だと思います。利用者はまだ少ないものの、「こんな技術の使い方があったのか」という、斬新なサービスに落とし込んでいるスタートアップもどんどん出てきています。
特に、AIはビジネス領域(BtoB)では急速に活用が進んでいますが、コンシューマー向け(BtoC)ではまだまだこれからといった印象。そんな中、面白いサービスとして注目なのが、「オートリザーブ」(ハロー、東京・渋谷)です。
特徴的なのが、AIが飲食店に直接電話して予約を代行してくれること。例えば、「今日19時半からディナーにいきたい」と思った際に、アプリ上で店舗を探して予約リクエストをすると、後はAIが電話をして予約の可否を確認してくれます。大手グルメサイトでもオンラインの予約サービスは広がりつつあるものの、電話でしか予約できない店もまだまだ多いのが現状。「会議中に今晩の会食先を探す」といったことも簡単にできますね。
—— 突然AIオペレーターから予約の電話がかかってくると、店側は驚くのではないでしょうか?
堀 そうですね。いきなりAI音声で電話がかかってくるため、気持ち悪いと感じる人も少なくないと思います。実際、電話をすぐに切ってしまう店主もいるそうです。ただ、そんな場合には運営するハローのコールセンターから電話をかけて、人がフォローをする仕組みを導入しています。送客サービスであることをしっかりと伝えることで、次回から協力をしてもらえる関係性を築けるというわけです。
このAI×音声という組み合わせは、18年から19年にかけてコールセンターなどのBtoBの現場でどんどん広がりましたが、BtoC領域でもいよいよ一般化してきます。オートリザーブはその一つの例といえます。
MaaSなど“ラップ”が次のトレンド
—— スマホアプリで次のトレンドとして注目しているものはありますか?
堀 最近、海外で目立ってきているのが、様々なサービスをまとめる、“ラップ”するアプリです。
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