連載第6回ではエリアやクリエイティブの網羅性など、テレビデータ自体に内在する課題を解説した。今回は、テレビデータを分析する際に直面する課題とその解決策について解説する。デジタルデータと連携してテレビCMの効果測定をするには、KPI(重要業績評価指標)データの単位をそろえていくことが必要になる。
そもそも、広告主はどういう目的でテレビCMのデータを分析することが多いのだろうか。ここ3年ほどでさまざまな業界からテレビCMのデータ分析の相談を受けたが、その目的は、次の3つに分かれる。
(1)テレビCMが計画通りに放送されたかを確認する
(2)競合他社がどのようにテレビCMを放送しているかを把握する
(3)テレビCMの効果測定をする
まず(1)と(2)の場合は、それぞれの目的に適したデータを用いればいい。前回の「テレビCMデータ分析、細かいペルソナが無駄になる理由」で述べた、テレビCMデータそのものに内在する課題や限界を理解したうえで、自社の目的に適したデータを入手して分析する。
データ分析において複雑な問題が発生するのは、(3)に挙げた効果測定をしたいときである。効果測定をする場合、テレビCMの効果とは何かを定義するところからプロジェクトはスタートする。とはいえ、さすがに最近はテレビCMの効果を測るKPIを自社で決めていない企業はあまりない。正しいやり方で計測できているかどうかは別としても、一応はテレビCMを放送したときに、効果として測定するKPIは決まっていることが多い。
その中で最もポピュラーなのは売り上げ、検索サイトでの商品名や企業名での検索数の増加率、 オウンドメディアアクセス後の購買につながるアクション数の増加率などだ。効果測定をするということは、これらのKPIに対してテレビCMがどれだけ影響を与えたかを分析することになる。簡単に言えば、テレビCMデータとKPIデータという2つのデータを比較して相関関係の有無や相関の強弱を分析する。ただし、その分析に当たっては大きな課題がある。
KPIデータとテレビデータの整合性に課題
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