テレビCMの効果測定を行い、エリア別に最適な投資配分をする「エリアMMM」の実践を第3回では紹介した(関連記事「テレビCMの適正な予算配分を3ステップで決定 エリアMMM活用法」)。第4回は、全国の個人視聴率が2020年3月31日から提供されることで、テレビCMの活用はどう変わるのかを解説する。

ビデオリサーチは自社イベント「VR FORUM 2019~Data Orchestration~」で2020年から提供開始予定の新視聴率の詳細を発表した
ビデオリサーチは自社イベント「VR FORUM 2019~Data Orchestration~」で2020年から提供開始予定の新視聴率の詳細を発表した

 18年4月よりエリア別にCMデータが入手できるようになったことで、「エリアMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」が実現可能になった。テレビCMの投資対効果を曖昧な情報や勘に頼るのではなく、データドリブンで客観的に効果を測定し、投資配分の意思決定をできるようにする大きな1歩だ。

 そしてもう1つ、20年3月にテレビデータにまつわる重要な変革がある。個人視聴率の提供開始だ。ビデオリサーチは、今まで関東、関西などの大都市圏でしか提供していなかった個人視聴率を全国で取得可能にする。第4回は個人視聴率の有効活用法を解説する。広告主はどのようなメリットを得られるかについて解説する。

テレビCMのROIを高める2つの方法

 テレビCMの投資予算のエリア配分は、エリアMMMを用いてエリアごとのROI(投下資本利益率)を分析し、その結果に基づき意思決定をするのが合理的であることは第3回で説明した。つまり、テレビCMのROIはエリアMMMを活用することで、精緻に測定できる。測定したROIそのものを上げるには2つの方法しかない。

 1つはコスト削減だ。ROIの分母である広告費用を下げれば、ROIは上がる。しかし、一定の広告量を下回ると売り上げが下がる懸念があるため、精緻かつ慎重な計画が必要だ。もう1つの方法は、広告をきちんと潜在的な購買層に響かせること。それには、訴求メッセージとターゲットである「潜在ユーザー」のマッチングが正しいかどうかに尽きる。本連載ではコスト削減よりも効果を上げることに焦点を絞って考えてみよう。

 マッチングの正否をコントロールする方法はさらに2つ。1つは潜在ユーザーに正しくCMが当たっているかどうかをきちんとデータを取得して管理する。もう1つは、データに基づき潜在ユーザーに正しいメッセージで訴求する。後者については、次回の第5回で詳しく紹介する。まず今回は潜在ユーザーに正しくCMが当たっているかどうかをデータを用いて管理する方法を解説しよう。

ROI(投下資本利益率)が低い地域は、きちんとターゲット層にテレビCMが届いていない恐れがある
ROI(投下資本利益率)が低い地域は、きちんとターゲット層にテレビCMが届いていない恐れがある

 それには、20年3月から提供開始になる全国の個人視聴率が非常に有効だ。これを用いれば全国一律の共通指標で、潜在ユーザーに正しくCMが当たっているのかを計測し、データドリブンで管理できる。しかも、それほど難しいことではない。高度なデータ分析のノウハウなどは全く必要ない。全国一律の共通指標として、個人視聴率をエリア別に「Excel」などの表計算ソフトで管理すればいい。

 例えば、自社製品のターゲット層がF1層(20~34歳の女性)だったとしよう。個人視聴率を用いれば、ターゲット層に対する自社のテレビCMの延べ視聴率が全エリアで分かるようになる。これをターゲット・レーティング・ポイント(TRP、ターゲットの延べ視聴率)と呼ぶ。

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