※日経トレンディ 2019年12月号の記事を再構成

日経トレンディが選んだ「2020年ヒット予測ランキング」7位は「レオンポケット」。ソニーが開発したスマホで温度管理できる服が、クラウドファンディングで6916万円を集め製品化へ。首元に装着したデバイスが、体を“瞬間冷却”する。猛暑に悩む五輪観戦客を救う。

背中側の首元に温度操作ができるデバイスを装着する
背中側の首元に温度操作ができるデバイスを装着する

【7位】“瞬冷”冷却服 レオンポケット

五輪観戦時の救世主。ソニーの本気が日本の夏を変える

 ここ数年の猛暑で、ファン付き作業服をよく見かけるようになった。2020年はこれがさらに進化し、一般人までもが冷却機能付きの服に殺到する。

 ソニーが仕掛けるのは、ファンを使った空冷式ではなく、スマホで温度調節できる冷却デバイスを装着する「レオンポケット」だ。電圧をかけると熱が移動するペルチェ素子を用い、首元を直接冷やす仕組みで、冷却ジェルシートなどと違いバッテリーが持つ限り冷たさがヘタることがない。専用のインナーウエアで装着するため、ファン付きウエアのように目立たないのも魅力。たった85gと軽く、スーツの中に着込めば、クールビズとは無縁のビジネスパーソンの救世主にもなる。

 ソニーが運営するクラウドファンディングサイト「ファースト・フライト」で公開するや否や、サイトのデイリーアクセスが歴代最高というロケットスタート。最終的に同サイト史上最多の支援者数を達成し6916万円を集めた。20年初頭に支援者に届けるとともに夏までに一般発売を目指す。開発を担う伊藤陽一氏は「ソニーがモバイル機器などで培った熱設計技術を搭載した商品だ。冷温両対応なので冬にも機能する。現在は専用ウエアが男性向けのみだが、一般発売に向けバリエーションを作る構想もある」と語る。

 一方で、ファン付き作業服は一般向けに進化する。19年は既にミズノやワークマンなど一部のメーカーが夏のスポーツ観戦にも使える半袖、ベストタイプのファン付きウエアを投入している。完売店舗が相次ぐなど好調で、「8月はファン付きウエアが18年の9倍売れた。20年の夏はさらなる増産を見込む」(ワークマン)。

 新規プレーヤーの大量流入も起こる。デサントは、フロントファスナーを開けた状態でも冷却効果を得られる「デサント 空流JAC(クウルジャック)」を6月からテスト販売。アオキも「クーラーベスト」を一部の店舗限定で投入し、両社共に20年はさらに販路を広げる予定だという。20年の夏商戦に向けた各社の“臨戦態勢”が整う。

スマホで温度管理 着るクーラーが爆誕

REON POCKET
専用のインナーの首元にデバイスを入れるポケットがある。温度調節はスマホで行い、冷却・発熱共に5段階で強弱を設定できる。温度状況などを検知して自動で調節するオートモードも備える

室温30℃の環境でレオンポケットを装着すると、5分経過後に体表面温度が13℃下がる実験結果も報告されている
室温30℃の環境でレオンポケットを装着すると、5分経過後に体表面温度が13℃下がる実験結果も報告されている
ワークマン
ワークマン
写真提供/「ちょっとキャンプ行ってくる。」(https://chottocamp.com/)
アオキ
アオキ
19年は大手スポーツメーカーなどがファン付きウエアに多数参入。デサントやアオキはテスト販売を経て20年に本格参入を目指す
家電メーカーと共同の猛暑対策グッズ
 シャープとデサントは、液晶の技術を活用した蓄冷剤をグローブポケットに入れて手のひらを冷やし、深部体温上昇を抑制する熱中症対策グッズを開発。実用化に向けて効果の検証を重ね、一般発売を目指す。蓄冷剤はシャープの社内新規事業チーム「テキオンラボ」が手掛ける。

(写真/小西範和)