※日経トレンディ 2019年12月号の記事を再構成

日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2019年ヒット商品ベスト30」9位に「ルックプラス バスタブクレンジング」が選ばれた。「こすらず洗える」使い勝手の良さでリピーターを増やし、発売1年で2200万本を販売。浴室洗剤の市場規模を2割拡大する快挙を遂げた。

1年間に2200万本を販売。「毎日、きれいなお風呂に入りたい」という、消費者のシンプルな希望にこたえてヒットした
1年間に2200万本を販売。「毎日、きれいなお風呂に入りたい」という、消費者のシンプルな希望にこたえてヒットした

【9位】ルックプラス バスタブクレンジング

「こすらず洗える」新規性で一点突破
ガリバーに挑み、年2200万本の快挙

 浴室洗剤といえば、花王が「バスマジックリン」で実にシェア6割以上を占めてきた市場。この牙城に挑み続けたライオンが、「ルックプラス バスタブクレンジング」でついにその一角を崩した。2018年9月の発売後、このカテゴリーでは300円を超える高価格帯ながら、まずは半年で1300万本を販売。1年間では2200万本を売った。

 ヒットの理由は、単に洗浄力ではなく、「こすらず洗える」点にある。バスタブ全面に洗剤のミストをスプレーし、60秒待った後にシャワーで流すだけ。従来品のようにスポンジなどでこする必要が無い。この画期的な使い勝手の良さが、ダイレクトに消費者に響いた。

 使われた技術は、バスタブに付着した汚れからカルシウムを取り除くことで、汚れを浮かせて流す「無力化洗浄」というもの。この技術をテレビCMなどで訴求するのが定石だが、ライオンが取ったのは真逆の戦略。これまで浴室洗剤が競ってきた「洗浄力」とは異なる競争軸の商品だと伝えることに徹した。

 その結果生まれたのが、「バスタブはこすりません!」「ワンプッシュで1m!」といった、新たな洗い方を重点的にアピールするテレビCMや広告。使い方を理解してもらえば、その違いを体感してもらえるはずという狙いが的中し、花王に伍する商品としての地位を確立した。

 浴室洗剤でシェアのほとんどを占める主要3社の販売状況を見ると、花王やジョンソンが目立って落ちているわけではなく、ライオンの販売が単純に伸びている(下グラフ)。ルックプラスの手軽さを知ってバスタブ掃除の頻度を高める人が増えた結果、カテゴリー全体の市場規模が約2割も拡大したのだ。「かがまなくても使えるので、風呂掃除がおっくうになりがちな妊娠中の女性や足腰に不安のあるシニア層からの支持も大きい」(ライオン)。

 以前は10%に満たなかったライオンのメーカーシェアは、ルックプラス発売後に20%超えが定着。「大容量の詰め替え用が人気」(同)というのも、バスタブ掃除の新たな需要(機会)を掘り起こし、リピーターを確実に増やしている証しだ。

■他社と食い合わずに市場を拡大
■他社と食い合わずに市場を拡大
注)浴室洗剤主要3社の販売推移。True Data調べ。全国のドラッグストアのPOSデータによる。買物指数とは来店者100万人当たりの売上金額

「こすらず洗える」を徹底的にアピール

 テレビCMや店頭ポップなどでは、バスタブをこすらずに洗える手軽さを一貫してアピール。消費者の興味を引き、「それなら一度試してみよう」と手に取らせることに成功した。

楽に使えることで利用頻度が高まる

 かがまずに使えるので、バスタブ掃除の身体的負担が大幅に軽減し、毎日のように洗う人が増えた。4月に発売した大容量の詰め替え用も販売を伸ばす。

詰め替え用の販売も好調
詰め替え用の販売も好調