海洋プラスチックごみ問題が世界規模で喫緊の問題になっている。プラスチックが人々の生活に恩恵を与えていることは確かだが、同時に、ごみ問題への対応もメーカーにとって避けて通れない。飲料メーカーは、ペットボトルに関する新たな戦略を相次いで策定している。リサイクル推進は待ったなしだ。

「ポイントは、私たち飲料メーカーや消費者が、プラスチックとのより良い付き合い方を考え、振る舞いを変えていくこと」。サントリーホールディングス・コーポレートサステナビリティ推進本部・サステナビリティ推進部の内田雄作課長はこう語る。
包装容器に関する環境配慮として「3R」という考え方がある。使用する原料を減らすリデュース、瓶などを繰り返し使うリユース、そして再生して利用するリサイクルだ。ペットボトルの場合はリユースが難しいため、リサイクルとリデュースが中心になる。
日本は、諸外国に比べてリサイクルに対する意識が高く、市場に流通した90%以上のペットボトルが回収され、84%程度はリサイクルされている。使用後、不要になったペットボトルは2つのルートで回収される。一つは、一般家庭などを対象にした、市町村などの自治体ルート。もう一つは、スーパーやコンビニなどの流通店舗や自販機横のゴミ箱、オフィスのペットボトルなどを対象にした事業系ルートだ。
「多くの人は、回収されたペットボトルの大半が、再びペットボトルとして生まれ変わると考えている。しかし、ペットボトルからペットボトルにリサイクルされるのは、リサイクル業者に回収されたうちの約25%しかない。残りは、トレーやシート、衣類用の繊維などにリサイクルされているのが実態」(内田氏)
ペットボトルをリサイクルして新たなペットボトルにすることを「ボトルtoボトル(BtoB)」と呼ぶが、BtoBのリサイクルの効率を上げるには、きれいな状態のペットボトルが必要になる。BtoBのリサイクルを促進するには、使用後のペットボトルをきれいに洗ってから捨てるなど、消費者の理解と協力が必要不可欠なのだ。
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