花王も海洋プラスチックごみ問題への対応を急ぐ。2019年4月に公開したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」。同プランは3つの柱で構成され、環境問題への対策もその一つ。特にプラごみ問題では、これまで続けてきた容器の薄肉化、詰め替え促進といった取り組みを加速させ、新たなステージを目指す。

 花王は2019年4月、30年までの達成を目指すESG(環境・社会・ガバナンス)戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を公開した。ESG部門の大谷純子ESGコミュニケーション担当部長は、同プランを「欧米をはじめとするグローバルで通用するサステナビリティー戦略として構築したもの。消費者のみなさまが心豊かに暮らしながら、無理なくサステナブルな暮らしを送るお手伝いをする商品や容器などの提案を目指す」と解説する。

 プランは「快適な暮らしを自分らしく送るために」、「思いやりのある選択を社会のために」、そして環境問題に取り組む「よりすこやかな地球のために」の3本の柱で構成されている。環境問題への取り組みでは、「2030年までにすべての花王製品が、全ライフサイクルにおいて、科学的に地球が許容できる範囲内の環境フットプリントとなるようにします」としている。そのためのアクションとして、「脱炭素」「ごみゼロ」「水保全」「大気および水質汚染防止」の4つを挙げる。

花王が2019年4月に発表したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」
花王が2019年4月に発表したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」

 プラスチックについては、同プランの公開に先立つ18年10月に、「私たちのプラスチック包装容器宣言」を発表。「プラスチック容器は、安全に中身を保護してお客さまに商品をお届けするのに有用な素材だと考えている。とはいえ、過度に使用するなど、適正に管理しないと地球環境に影響をもたらす負の部分が出てくることを認識して、さまざまな提案をしていく」(大谷部長)。

 同宣言の中で、より環境負荷の少ない商品を消費者に届けるため、プラスチック包装容器に関して、リデュース(減らす)、リプレイス(置き換える)、リユース(再利用する)、リサイクル(再資源化する)の4Rの視点から研究開発に取り組むとしている。大谷部長は「4Rのうち、まず容器包装材料を削減するリデュースに力を入れ、新たな包装容器の開発を進めている」と語る。

 Kirei Lifestyle Planの環境問題への取り組みでは、新容器の開発などを進めることで、30年には環境負荷が低い革新的なフィルム包装容器を年間3億個普及させることを目標としている。これはつまり、容器の開発力が企業の競争力そのものを左右する時代が到来することを意味する。

ボトル型からフィルム型容器へ転換

 花王が、プラスチックの使用量を大幅に削減できるフィルムタイプの詰め替え用商品を発売したのは、今から30年近く前の1991年。以来、詰め替え・付け替え用商品の数は増え続け、18年12月時点で295品目に上り、数量ベースで約80%を占める。

 詰め替え用商品がすべて通常の本体ボトルで販売されていたと仮定して比較した削減効果と、商品のコンパクト化による削減効果を合わせると、9万3100トンものプラスチックを削減したことになるという(18年実績)。

 さらに花王は16年、環境負荷の低減と使いやすさを両立した、新詰め替え容器「ラクラクecoパック」を開発した。これは握力の弱い高齢者や女性でも簡単に本体容器に詰め替えられるのが特徴。植物由来プラスチックを重量ベースで15%取り入れている他、従来の詰め替え容器に比べて製造から廃棄までの過程で生じるCO2排出量も約3%削減している。

花王の詰め替え容器「ラクラクecoパック」
花王の詰め替え容器「ラクラクecoパック」
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