2030年に生まれる新市場作りに挑むスタートアップ企業の1社が、AI(人工知能)開発のクーガーだ。IoT機器で覆い尽くされる未来のインターネットでは、マシンと人間の間の橋渡しをしてくれる新しい概念「インテリジェント・ヒューマン・エージェント」が必須の存在なるとみて、日々要素技術の開発に余念がない。同社が描く10年後の未来予想図をひもとく。

クーガーは、基盤技術「Connectome」(コネクトーム)によって仮想的な人格を持ち人間と対話できるエージェントの実現に挑んでいる(提供:クーガー)
クーガーは、基盤技術「Connectome」(コネクトーム)によって仮想的な人格を持ち人間と対話できるエージェントの実現に挑んでいる(提供:クーガー)

 ありとあらゆるデバイスがIoT(インターネット・オブ・シングス)化され、インターネット上を飛び交うデータは今後爆発的に増える。調査会社の米IDCによると、25年に全世界で普及するIoT機器は416億台に達し、IoTマシンが生み出すデータの総量は年間で79.4兆ギガバイトになるという。

 地球上の全人口の数倍もの数のマシンが地球上を覆い尽くし、途方もない規模に膨れ上がったデータが秒単位で正確無比にネット上でやり取りされる未来の社会。もはや人間の手には負えず、各マシンが自律的にそれぞれの役割を担う必要が出てくる。45年にも人の能力を超える「シンギュラリティー」(技術特異点)に達するとされるAIに、その制御を委ねようと考えるのは当然の帰結だろう。

 今から10年後の30年、全産業はIoTとAIを前提としたビジネス構造へとアップデートされる。総務省の試算によると、全産業の市場規模(生産誘発額)はIoTやAIの進化によって30年には20年比で27%増となる1495兆円に成長。実質GDP(国内総生産)で見ると、132兆円もの押し上げ効果が期待できるという。消費・マーケティングの手法も、現在の常識とは違うものへと置き換わっていくことになりそうだ。

“マシンインターネット”の時代がやってくる

 「AIを搭載したマシン同士がコミュニケーションを図る、“マシンインターネット”の時代がやってくる。人間は、マシンインターネットとの橋渡しをしてくれるエージェントに頼ってネットを操るのが新常識になる」。こんな新概念を唱えるのが、AI開発のスタートアップ企業クーガー(東京・渋谷)代表取締役CEO(最高経営責任者)の石井敦氏だ。

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