特集8回目はドローンを活用した「ドローン・アズ・ア・サービス(DaaS)」と呼ぶ市場を紹介する。国内では2022年度の規制緩和で、都市部でもドローンの自動配送サービスなどが可能になる。鍵を握るのがUTM(無人航空機管制)と呼ぶシステム。この分野で先行するのが海外実績を持つテラドローン(東京・渋谷)だ。
19年8月、東京・丸の内エリアで複数のドローンを飛行させる実証実験が行われた。ドローンは山間部での測量、工場施設の点検、空撮などに利用されているが、高層ビルの横を飛行する姿は珍しい。しかも今回は操縦者がいない自律飛行だ。目標地点に向けてドローンが飛行ルートを自分で判断しながら進んでいく。山間部などでの自律飛行の実験はあるが、街中では初めてだろう。
今までは制限があって主に山間部などで利用されていたが、22年度以降は規制緩和によって都市部での目視外飛行が実現可能になる。そうなると、荷物を配送するドローンが飛び交い、物流の姿は一変するだろう。さらに防災や警備など、幅広い分野で利用できるようになる。
だが多数のドローンが飛行すれば、別のドローンや建物に衝突する可能性は大きくなる。そこで必要になるのが、「いつ誰がどこでドローンを飛行させているのか」を把握するためのUTMと呼ぶシステム。空域を管理して、衝突を防止する。さまざまなサービスを都市部で安全に実施できるようにするには、UTMは重要な存在になる。ドローンを活用したサービスはDaaS(ダース)と呼ばれるが、UTMを制した企業がDaaS市場の重要な位置を占めるに違いない。
丸の内エリアの実験でも、UTMの活用が最大のポイントだった。これを地元の三菱地所の協力で手掛けたのが、ドローンの運行管理システムなどを開発・運用し、さまざまな産業用サービスを国内外で展開するテラドローンだ。売り上げ規模は約28億円だが、国内外で石油やガス、電力などの分野で保守・点検サービスを展開する他、建築・土木の測量などを手掛ける。16年にはUTMの開発・サービスで先行するベルギーのUnifly社に出資。両社の技術を活用して海外でUTMの運用を進めるなど今後、目指す方向はUTMにある。
テラドローン日本統括責任者の神取弘太氏は、「規制緩和が進んでいる海外では、ドローンを使った物流サービスで当社のUTMが運用されている。他社よりもUTMの実績は豊富にあり、今後は空の交通管理におけるプラットフォーマーを目指したい」と話す。「国内でもUTMが決まればドローンによる物流サービスが日本の都市部でも現実を帯びてくる。まずは緊急性が求められる医療分野でのドローン活用が進むのではないか」(神取氏)。
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