特集7回目は、企業のイノベーションを最新技術で支援する「イノベーションテック」と呼ぶ市場を紹介する。先行するのは「ideagram(アイデアグラム)」を開発したVISITS Technologies(東京・千代田)だ。市場規模を正確に予測した数字はないが年率21.4%で成長するデジタル関連のコンサルティング市場に乗れば、2025年には約600億円になりそうだ。

VISIT Technologiesはideagramを使う「デザイン思考テスト」を大学生などに実施。参加した大学生の成績上位者を集めて「Innovators Club」として組織化し、ワークショップなどを実施している。企業の人事担当者も参加するなどideagramに関心を持っている
VISIT Technologiesはideagramを使う「デザイン思考テスト」を大学生などに実施。参加した大学生の成績上位者を集めて「Innovators Club」として組織化し、ワークショップなどを実施している。企業の人事担当者も参加するなどideagramに関心を持っている

 経営幹部がそろった新規事業の策定に向けた会議室。パソコンには、社内の提案者たちが出した新規事業のさまざまなアイデアが入力されている。どのアイデアが最も有効なのか。これまでの会議では、アイデアをめぐって議論が交わされてきたが、今では幹部の1人がパソコンを操作するだけ。するとアイデアの優劣が数字となって表示され、どのアイデアが最も優れているか、すぐに分かるようになる――。これは決して絵空事の話ではない。2025年には現実になっている話なのだ。

 多くの日本企業にとって、新規事業の開拓が求められていることは間違いない。新しいビジネスはもちろん、既存のビジネスモデルの改革を急ぐ必要があるだろう。このため、多くの企業は社員同士でディスカッションを重ね、新規事業のアイデアを絞り出そうとしている。デザイン思考といった手法が注目されているのは、今までの延長線にある考え方だけではなく、新しい発想法が求められているからだ。

 だがデザイン思考でさまざまなアイデアを出しても、どれが最も優れたアイデアなのかは分からない。アイデアを正しく評価できなければ、社内を説得するのが難しいだろう。上司の好みで左右されるようでは、どんな発想法を利用しても意味がない。既存の社員だけではなく、今後はアイデアに優れた人材の獲得も急務になるだろう。そうした人材をどうやって見つけるのか。

 そこで注目されているのがイノベーションの創造を最新技術で支援するサービスだ。これが「イノベーションテック」と呼ぶ新市場をつくるとみられている。イノベーションテックの市場規模を予測した数字は見当たらないが、企業の新規事業をデジタル技術で支援するコンサルティングに近いかもしれない。

 調査会社IDC Japan(東京・千代田)が2019年4月に発表した調査「国内コンサルティングサービス市場」によると、国内のコンサルティング市場は18年~23年まで平均で5.4%の成長が見込まれている。このうちデジタル関連のコンサルティングは平均で21.4%成長し、23年には約4000億円市場になりそう。この伸びで見ればデジタル関連のコンサルティングは25年には約6000億円になる。このうち10%でも約600億円。イノベーションテックがコンサルティングビジネスとして軌道に乗れば、新たな市場が生まれそうだ。

VISITS Technologiesは「イノベーションテック市場」でアイデアを可視化・定量化していく
VISITS Technologiesは「イノベーションテック市場」でアイデアを可視化・定量化していく

 この分野で先行している企業が、VISITS Technologiesである。同社が目指すビジョンは「イノベーションは科学でき、誰でも起こせるようになる」というもの。イノベーション創発を客観的に分析するための研究開発を行うことで、新たな市場を確立しようとしている。同社の中核となるのが、アイデアの可視化・定量化を行うシステム「ideagram」だ。

 ideagramは、独自開発のアルゴリズムを活用することで、アイデアの価値を定量化できるようにした。創造性やセンスといった価値があるにもかかわらず定量化が難しかった「感覚的な資産」を数値として表現できるという。同社の松本勝社長は、金融業界で数値解析などを手掛けてきた。そこで「Consensus Intelligence」と呼ぶ独自の合意形成アルゴリズムを開発。偏差値としてアイデアの優劣を表示できるようにした。

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