「未来の市場をつくる100社」特集の第4回は、2023年に誕生する「ライフスタイルコーディネート」市場を取り上げる。情報過多により、探さない消費が拡大している。そうしたニーズに応えるべく、専門家の知識を活用して提案する新型ECが登場した。米アマゾン・ドット・コムとは異なる価値提供で新しい小売りの実現を狙う。

インテリアコーディネーターを活用した提案型EC「Hello Interior」が人気を集めている
インテリアコーディネーターを活用した提案型EC「Hello Interior」が人気を集めている

 従来、ネットでの情報探しといえば、検索サービスを利用して自ら調べる行動が主流だった。そこに異変が起きている、若者を中心に検索しない購買行動が増えている。購買行動に影響を与え始めているのが、SNSや動画配信プラットフォームで情報を発信をするインフルエンサーだ。自分にとって信頼の置ける第三者の意見を購買の参考にする。こうした効率的かつ、納得のいく買い物をしたいという消費者ニーズを捉え、相次いで登場しているのが提案型ECだ。

 インテリアコーディネーターやスタイリストといった専門家が、顧客の趣味嗜好に合わせて適した商品を提案してくれるサービスを指す。今回紹介する2社は、18年から19年にかけてサービスを開始し先頭を走る。順調な成長が見込めれば、3年後には利用者が専門家の提案に手数料を対価として支払う「ライフスタイルコーディネート」市場が生まれるだろう。

 経済産業省によると、日本国内のBtoC(消費者向け)EC市場の規模は17兆9845億円、国内の物販におけるEC化率は6.22%と中国や米国に比べるとまだ低い。ライフスタイルコーディネート市場は、これまでネットで買うことを不安視して、アパレルやインテリアを購入しなかった層を専門家の推薦という付加価値で取り込める可能性を持つ。日本のEC市場の底上げにつながりそうだ。

 ライフスタイルコーディネート市場創造を狙う企業で、まず紹介するのはHello Interior(ハローインテリア、東京・港)だ。インテリアコーディネーターがLINEで顧客の好みを聞き、部屋をトータルコーディネートするサービスを提供する。代表の梅田和彦氏と、大塚家具に12年間インテリアコーディネーターとして勤めた村野友明氏の2人が創業した。サービスの本格開始は18年10月。これまで500件以上の部屋をコーディネートしてきた。大がかりなマーケティング施策を展開していないにもかかわらず、現在は月に100件以上の相談が寄せられるなど、急速な成長を遂げている。

Hello Interiorは家具の提案型ECで「ライフスタイルコーディネート市場」創造を目指す
Hello Interiorは家具の提案型ECで「ライフスタイルコーディネート市場」創造を目指す

 「当社の顧客は2種類いる。1つはインテリアについて分からない、自分でコーディネートできないという層。もう1つは選ぶのが面倒だという層。後者はプロに任せて対価を支払った方が、目的を最短で達成できるという感覚で使っている」と梅田氏は言う。餅は餅屋、プロの知見に対価を支払うことで余計な手間を省きたいというニーズを捉えている。

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