特集「未来の市場をつくる100社」第2回はBEAMING(東京・渋谷)を紹介する。同社は第1回に登場したティフォンと同様、5Gを活用したエンターテインメント市場創造を狙う。2023年に1兆円を超えると予測される「空間エンターテインメント市場」で、デジタルを活用した次世代音楽ライブサービスを創る。

映像とデジタルアイテムのギフティングを組み合わせた「SHOWCASE LIVE」
映像とデジタルアイテムのギフティングを組み合わせた「SHOWCASE LIVE」

 アーティストの収益はソフトから体験へと移り変わりつつある。ストリーミング配信が主流になり、パッケージ商品の販売市場は全世界的に縮小している。ストリーミング配信では再生数に応じた収益を得るため、パッケージ商品の販売が主体の時代とは収益構造は大きく変わった。

2019年2月に日本レコード協会は、2018年音楽配信実績を発表。音楽のストリーミング配信の年間売り上げは349億円となり、初めて年間売り上げでダウンロード販売(256億円)を上回った
2019年2月に日本レコード協会は、2018年音楽配信実績を発表。音楽のストリーミング配信の年間売り上げは349億円となり、初めて年間売り上げでダウンロード販売(256億円)を上回った

 一方、急拡大しているのがライブだ。ぴあ総研によれば、この10年間で音楽のライブ・エンターテインメント市場の規模は2倍超の3776億円に拡大した。「情報が爆発的に増え、SNSの普及などによって取得ルートも多様化した。これにより、音楽を含めて情報そのものの価値は相対的に下がった。そのため手触りのある体験に価値を感じる消費者が増えている」とBEAMINGの次呂久博幸社長は見る。アーティストの収益もライブの比率が高まっている。

 ただし、収益構造はいまだ変わらない。「ライブの収入源は主にチケットとグッズ販売、会場での飲食、スポンサーの協賛金の4つ。文献上では、1500年代には既に確立されている」(次呂久氏)。BEAMINGはデジタル技術を使い、現実世界で行われるミュージシャンのライブをよりリッチな空間にする「SHOWCASE LIVE」を開発。500年以上本質的な変化のなかった音楽ライブ市場に、新たな収益をもたらそうとしている。

 BEAMINGが実現するSHOWCASE LIVEは、ライブ中に来場者がスマホを通じてデジタルアイテム「YELL」を贈ることで、アーティストの背景に映し出される映像の演出がリアルタイムに変化する次世代ライブだ。パソコン1台と会場に設置されているプロジェクターを使うだけで実施できるため、大きな設備投資は必要ない。システムを通じた課金の一部を利用料として徴収するため、先行投資も不要だ。

デジタルアイテムを贈ることでライブ演出が豪華に

 ちなみにSHOWCASE LIVEはBEAMINGの仕組みを活用した次世代ライブの総称で、一般の消費者は同社の会員サイト「MUSER」を利用して、この次世代ライブに参加する。MUSERはチケットの販売、ライブ中のYELLやコメントの送信、アーティストごとのデジタルカードの管理といった機能を備えるプラットフォームで、約1万人が登録している。SHOWCASE LIVE に参加する場合、MUSER上の対象イベントページを訪れる。開演時間になると、ページにYELLを贈るボタンやコメントを投稿するフォームが表示される。

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