データ提供が生業ではない企業が、本業から得た“副産物”としてのデータでマネタイズ(収益化)を図る動きが始まっている。口コミのグルメサイト運営のRettyは、出光興産の旅行案内サイトへ食関連の情報を提供している。三井住友カードは、カード決済から得られる情報で小売り店舗などと連携を始めた。
日本全国から旅行したい地域を選択し、好みの写真を選ぶだけでドライブルートを自動で生成してくれる。出光興産はそんな旅行案内サイト「ドライブコンサルタント」を展開している。そのサイトで旅行プランを編集するときに、ドライブルート付近や選択したジャンルで飲食店を探し、ルートに組み込めるサービスが加わった。Retty(レッティー、東京・港)とのデータ連携によって実現したものだ。
このデータ連携基盤のサービスが「Food Data Platform」。Rettyに蓄積された口コミや食領域の各種データを統合し、外部企業のサービスにデータを提供する。一部の例を除き、Rettyが外部企業と本格的にデータ連携をするのは初めてとなる。
実名による口コミが特徴
Rettyは、実名ユーザーの投稿による口コミが特徴で、ユーザー数は4000万人を超える。味やサービスなどで満足度の高い店を探すことができるとして、食にこだわりを持つ人々からも定評があるという。
同社では、機械学習を活用することで、情報提供の品質を高めることを目指してきた。例えば、ユーザーから投稿された多数の料理の写真を解析し、「おいしそうだと感じられる画像など、どれをページ上で表示するか自動で選んでいる」(広告コンテンツ部門マネージャーの進藤太一氏)。口コミの文章を解析してキャッチコピーを自動生成する機能、ある店を利用したユーザーが好む店を表示するレコメンドエンジンも利用している。
2011年にサービス開始した同社はこれまで、消費者向けサービスの利便性向上に注力してきた。が、ここ最近は外部の企業から、データ連携についての問い合わせが増えていたという。出光興産からは約1年前に問い合わせがあり、「どこに行き、どこに泊まるかだけでなく、ユーザーが食で旅をより豊かにしたいという思いに共感した」(進藤氏)。これがきっかけとなり、本格的に外部とのデータ連携をするサービスの開発チームを立ち上げた。
「ぐるなび」「食べログ」といった競合は、すでに外部サービスとの連携を展開している。Rettyの優位性は「実名ユーザーによる口コミのサービスであること」(進藤氏)。サービス内でSNS風のコミュニティーが形成されている。
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