東京の丸の内を舞台に、デジタルデータを使ったリアル店舗への大掛かりな集客・販促実験が始まる。120ヘクタールの丸の内エリアのビルに約1000のビーコンを設置して人流データを把握しながら、丸の内カードの購買データなどと連携する。動いたのは丸の内の“大家”さんだ。

 2019年9月12日に設立された「丸の内データコンソーシアム」が実施する。三菱地所と富士通が主催するもので、ソフトバンクや電通、パーソルキャリアなど8社と東京大学が協力して発足しており、これに新規メンバーを募ったところ23日現在で丸紅やレナウンなど16社が加わった。企業をまたがるデータ連携は国内ではまだ緒についたばかり。これに対して三菱地所は、丸の内というエリアを切り口にコンソーシアムを組んで、データ流通に取り組む。かねて同社は、丸の内を先端テクノロジーの集積地にするべく様々な施策を打ってきており、今回の動きもそうした一環。

 デジタルデータを使ったリアル店舗のマーケティングには、データ分析を手掛けるスタートアップのunerry(ウネリー、東京・千代田)が開発したビーコンシステムを使う。ビーコンに対応したスマートフォンのアプリを入れた人が、周囲数十メートルの範囲に入ると、ビーコンがそれを検知。人が移動すると、それをまた別のビーコンが認識することで、人流を把握できる仕組みだ。

 丸の内エリアには約100棟のビルがひしめき合っており、うち30棟ほどを三菱地所が所有する。これらビルに現在1000ものビーコンの設置が進む。

 unerryのシステムの特徴は、これらビーコンが検知できるアプリが既に100程度あることだ。行動データプラットフォーム「ビーコンバンク」とよぶシステム上に、既にそれらのアプリと全国のビーコンがひも付けられたデータを持つ。このアプリを持った人が、ショッピングで丸の内に新設のビーコンに近づけば、それを検知すると同時に、その人が日頃どんな場所へ行くことが多いか、当日はどこからやって来たのか、といったことがIDベースで結びつけられる。このデータは個人情報を含むので、統計化処理された上でコンソーシアムメンバーへ提供される。

丸の内エリアでビーコンを次々設置へ

「丸の内データコンソーシアム」には街行動データや情報銀行など多くのプロジェクトが動いている
「丸の内データコンソーシアム」には街行動データや情報銀行など多くのプロジェクトが動いている

 「ビルに入った人が実際にどんなルートでテナントの店舗を回遊し、買い物をしているかが把握できる」。三菱地所の街ブランド推進部統括の奥山博之氏は期待を寄せる。実験に参加する店舗はこれから決める。

 店舗内の人流データを把握して、販促に活用する取り組みはこのところ活発化している。ただ丸の内といった大規模エリアでの実施は珍しい。

 購買履歴とも連動させる。三菱地所グループの「丸の内カード」の購買履歴データを、匿名加工情報にした上でこの実験に供給する。匿名加工は、2017年に施行した改正個人情報保護法で規定されたもので、本人同意、統計情報と並ぶ個人情報を流通させる手段の1つである。

店舗のブランド力を上げる次世代ショーケースとは?

 コンソーシアムでは、別の方法でも丸の内エリアでの販促を推進する。10月23日に開いたアイデア創出ワークショップでは、そのお題を「丸の内の魅力発見! 店舗のブランド力を上げる次世代ショーケースとは?」とした。ワークショップを取り回したのは、東京大学大学院の大澤幸生教授の研究室である。

 大澤氏は、データと他のデータを結び付けていく場合、どんな組み合わせだとスムーズにつながるのか、あるいは効果が出たときそれはなぜか、といったデータエクスチェンジに詳しい。「データジャケットという概念を使ってデータ同士を関係付けていくことで、連携が進みやすくなる」。会場で大澤氏はこう語った。データ連携に関心のある読者のために、もう少し説明しよう。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>