日本でも普及の兆しが見えてきた個人信用スコア──。この個人信用スコアが既に社会に定着し、その数値が生活に大きな影響を及ぼしつつあるのが、隣国の中国だ。アリババ集団傘下のアント・フィナンシャル・サービスグループが運営するスマートフォン決済アプリ「支付宝(アリペイ)」上で示される、「芝麻(ジーマ)信用」がそれだ。

芝麻信用の画面イメージ
芝麻信用の画面イメージ

 「僕は芝麻信用のスコアが762点あるから、いざとなったらアリペイ上にあるオンライン融資サービス『花唄(Huabei)』から2万元(約30万円)まではすぐに借りられる。心強いよ」

 「私は662点なので、シェアサイクルサービス『ofo』を利用する際、通常は必要な99元(約1500円)のデポジット(保証金)を支払う必要がなく、すぐにシェアできる」

 中国で芝麻信用について尋ねると、大抵、このような返事が返ってくる。中国の人々の多くは、自分が今、芝麻信用でどのくらいのスコアを得ていて、かつ、それがどのような特典に結び付くかをよく知っているのだ。

 では芝麻信用は何によって個人の信用を測っているのだろうか──。実は、芝麻信用もその上でサービスを提供しているスマホ決済アプリのアリペイは、中国人のユーザーにとって、単なる決済アプリではなく、決済を伴うサービスを享受するための、一種のプラットフォームの役割を果たしている。

決済アプリ「アリペイ」上に集まるデータを分析してスコアを算出

 アリペイがユーザーに対して幅広い決済サービスや金融サービスを提供しているため、アリペイを運営するアント・フィナンシャルには、ユーザー1人ひとりについて、実にさまざまな個人の行動に関連するビッグデータが集まってくる。例えば、どんな商品をいくらで購入したか、クレジットカードのキャッシングやオンラインレンディングサービスで借りた金をきちんと返済しているか、「シェアバイク」や「シェア傘」といったシェアリングサービスを利用した際に借りたものを期日までにステーションに戻しているか、「滴滴出行(ディディチューシン)」のようなライドシェアサービスや飲食店を予約した際、無断でキャンセルをしていないかなどである。これらのデータに、アリペイに登録されたユーザーの学歴や、そのSNS上の人脈の広がりや深さ、これまでにどんな仕事をしてきたかという履歴などを加味して、個人の信用度合いをスコアで表示したのが芝麻信用なのだ。