2017年9月に事業を本格的に開始したJ.Scoreに続き、LINE傘下のLINE Credit、ヤフー、NTTドコモといった大手IT企業が、個人信用スコア事業に相次ぎ乗り出した。貸金業による目先の収益に加え、詳細な個人情報を大量に収集し、自社や提携先企業のビジネスに生かす狙いがある。

LINE Scoreの公式ブログ。登録者はキャンペーン特典が得られる
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 「私たちの個人信用スコア事業は当初の見込みよりも順調に伸びている」──。J.Score(ジェイスコア、東京・港)の大森隆一郎社長CEOはこう胸を張る。

 みずほ銀行とソフトバンクが共同出資し、個人信用スコア事業を営むJ.Scoreは2017年9月に、さまざまなデータとAI(人工知能)を活用して自社で算出するAIスコアに基づき、貸付金利や利用可能額を変える個人向け無担保融資サービス「AIスコア・レンディング」の提供を開始した。日本の個人信用スコア事業の草分けと位置付けられる。

 J.Scoreが現在、提供しているサービスは、AIスコア・レンディングと、AIスコアのランクに応じて提携先企業からさまざまな特典(リワード)を受けられる「AIスコア・リワード」の2つ。AIスコア・リワードは今のところ提携先企業から対価を得ていないので、AIスコア・レンディングから得られる金利収入が主な収益源である。

 AIスコアは、利用者が登録のうえ、Web上で十数項目のアンケートに回答すれば、1000点満点でスコアが算出され、Web上に示される。その後、登録者が約150項目のアンケートに回答したり、みずほ銀行やソフトバンク、ヤフーのユーザーである登録者がJ.Scoreとの情報連携に同意したり、より詳細な個人情報をJ.Scoreに提供すれば、スコアの点数が上がっていく仕組みだ。

 AIスコアの登録者数は現在、約85万人で「年内には100万人に到達する見込み」(大森社長)。当初は19年度末に100万人到達を見込んでいたので、当初の思惑の140%のペースで登録者が伸びている計算になる。「近い将来に500万人達成を目指したい」と大森社長は意気軒高だ。

J.Scoreが提供するAIスコア・レンディングのイメージ
J.Scoreが提供するAIスコア・レンディングのイメージ

 また、各ユーザーのAIスコア・レンディングの利用可能額を合算した極度残高は、「サービス開始後2年で、270億円程度になっている」(大森社長)。国内のいわゆるレンディング(貸金)市場は、年間約1000億円の純増があると言う。2年で約270億円の極度残高を得たということは、レンディング市場のシェアを事実上10数%以上獲得したとみてよい。加えて、「AIスコア・レンディングを利用するユーザー層は年齢層が比較的若く、高所得者の男女が多いため、既存の金融機関から借り入れしていた層とやや異なる良質な顧客層を開拓できている」(大森社長)。新規参入した事業者としては成功の部類に位置付けられるだろう。

J.Scoreの成功を受け、LINE、ヤフーなど続々参入

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