「J.Score(ジェイスコア)」や「LINEスコア」といった“総合型”の信用スコア事業が先行する中で、飲食店とそのユーザーに向けたサービスを志向するのが、飲食店予約サービスを手がけるテーブルチェック(東京・中央)だ。どんなメリットがあるのか。
「信用スコアは、その用途が限定されているほど評価軸が明確になり、活用しやすくなる」。そう語るのは、テーブルチェック社長の谷口優氏だ。
同社は月間約120万人が利用するレストランのネット予約サービスと、日本を中心とした世界19か国約4900店の飲食店が導入している顧客管理システムを主軸に事業を展開。ユーザーと飲食店をつなぐプラットフォームとしての付加価値を高めようと、2020年中に業界初の独自信用スコア「TableCheckカスタマースコア」の提供を始める計画だ。
このカスタマースコアは、従来の予約サービスや顧客管理システムで得られる顧客ビッグデータをベースに、実際に利用した飲食店からの評価を加えて算出するもの。具体的には、飲食店の利用頻度や支払額(客単価)、キャンセル率といった複数の定量データと、店舗利用時のマナーなどを店側が評価した定性データを掛け合わせる。
例えば数日前のキャンセルなのか、予約直前のキャンセルなのかなど、定量データについてはより細かく分析する構え。そして特に重要なカギを握るのが定性データで、「いくら客単価が高くても、大声で他の客に迷惑をかけたり、横柄な態度を取ったりする人は飲食店にとってうれしい客ではない。こうしたリアルの行動を数値評価に落とし込むロジックを試行錯誤している」(谷口氏)という。
個別の飲食店の利用で獲得したスコアを総合したものがカスタマースコアであり、そこに外部企業のデータなどを取り入れる可能性もある。「当社は『Yahoo!スコア』の提供パートナーだが、現状ではレストランにとって良い行動を取る人と強い相関関係があるデータはあまりない。独自で評価データを積み上げていく必要がある」と、谷口氏は話す。
では、そもそもテーブルチェックがカスタマースコアの開発を目指す理由は何だろうか。
優良顧客をスコアで「見える化」
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