ロングセラーが長い歴史の中でいかに逆境を跳ね返してきたか、その秘訣を探る特集。第3回はクラシエフーズ「ねるねるねるね」。知育菓子という新ジャンルを開拓したが、次第に時代とのギャップが生じ、売り上げが半減。累計8億食を売り上げたロングセラー商品は、そのギャップをいかに埋めたのか?

 1986年の発売以来、30年以上にわたって子供たちに親しまれているクラシエフーズの「ねるねるねるね」。3歳から小学3年生くらいまでの子供向けの知育菓子だ。知育菓子とは、菓子を作る経験を通じで子供の想像力を養うもの。

 子供向けの菓子といえば数十円程度の価格が相場だった発売当時に、店頭価格100円という高価格にもかかわらず発売直後からブレーク。水を加えて練ると色が変化しながら膨らむという驚きや不思議さ、菓子を手作りする楽しさなどが子供の心をつかんで、これまでに累計8億食を販売してきたという。

2019年7月にマイナーチェンジした最新の「ねるねるねるね(ブドウあじ)」(税別120円)
2019年7月にマイナーチェンジした最新の「ねるねるねるね(ブドウあじ)」(税別120円)
1986年発売当初の「ねるねるねるね(メロンの味)」
1986年発売当初の「ねるねるねるね(メロンの味)」

 初年度にピークの売り上げを記録した後、80年代、90年代も発売当初と遜色ない販売数量で売れ続けたねるねるねるね。発売以後、パッケージデザインや味のマイナーチェンジを定期的に実施し、期間限定フレーバーも随時投入しながら人気を維持してきた。しかし2000年代に入ると徐々に売り上げが下降し、10年にはピーク時の半分にまで落ち込んでしまった。

 ところが、「売り上げが落ちてきても、社内に危機感はさほどなかった」と、クラシエフーズのマーケティング室菓子・PVMグループ、宮迫雅係長は語る。その理由を同マーケティンググループの森本郁子課長は、「半減するまで25年もかかっていたので、それほど落ちているという実感がなかった。しかも菓子は年間10億円売れたらヒット商品といわれるなか、ねるねるねるねは半減したといっても10億円を超えていたうえ、菓子売り場の90%以上に置かれているほど浸透しており、危機感を抱きにくかった」と言う。

 こうした中、いよいよ危機感を抱かざるを得なくなる状況が社内に持ち上がった。同じ知育菓子の一つで、ケーキ作りを体験できる新商品「ポッピンクッキン たのしいケーキやさん」が、販売数量を急伸させていたのだ。ポッピンクッキンは希望小売価格200円(税別)と高価格ながら、「お店屋さんごっこ」ができる点が受けて、ねるねるねるねから乗り換える形で子供の間で人気になった。

 「ねるねるねるねは知育菓子カテゴリーの大きな柱。ねるねるねるねも盛り返さなければ、という機運が高まった」(宮迫係長)

知育菓子「ポッピンクッキン たのしいケーキやさん」(税別200円)。ケーキ作りを体験できる手作りお菓子。発売は06年
知育菓子「ポッピンクッキン たのしいケーキやさん」(税別200円)。ケーキ作りを体験できる手作りお菓子。発売は06年
ねるねるねるねの直近10年間の売上推移。売上数量は非公開だが、10年を底に復活していることが分かる
ねるねるねるねの直近10年間の売上推移。売上数量は非公開だが、10年を底に復活していることが分かる
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