ロングセラーが長い歴史の中でいかに逆境を跳ね返してきたか、その秘訣を探る特集。第1回は森永製菓「チョコボール」。1967年発売で50年以上の歴史を持つが、強力な競合商品の出現により、2010年ごろから低迷。ライバルに対抗して子供受けするキャラクター商品を投入するも、苦境を脱することはできなかった。
森永製菓の「チョコボール」は1967年、「チョコレートボール」という既存商品を子供向けに改良して誕生した。手に持ったときに溶けにくいチョコレートでピーナツをコーティングしたり、取り出し口をくちばし型にしたり、くじ付きにしたりして、子供が喜ぶようにさまざまな工夫を施した商品だ。
パッケージの取り出し口にプリントした金のエンゼルなら1枚、銀のエンゼルなら5枚集めると「おもちゃのカンヅメ」が漏れなくもらえる仕組みは、発売から50年以上たった今も継続している。
現在、チョコボールの基幹商品は、ピーナツとキャラメル、いちごの3種類。それに加え、年に3回、期間限定商品を発売している。期間限定商品の発売に合わせてキャンペーンなどを実施することで、チョコボールブランドの活性化を図ってきた。
スーパーやコンビニの導入率が非常に高いロングセラー商品で、ここ数年、売り上げは好調だ。だが実は、10年の年末ごろから15年の夏ごろまで、売り上げが急落したという。競合商品となる子供向けのチョコレート菓子が他社から発売されたからだ。
競合商品は子供に大人気のキャラクターを採用した商品で、テレビCMも大々的に展開。ピーナツやビスケットをチョコレートでコーティングしたお菓子で、縦長の箱型のパッケージ入りで、くじ付きなど、チョコボールと非常に類似した商品だった。その競合商品の発売以降、チョコボールの売り上げは伸び悩んだ。考えられるさまざまな対策を試みたが、結果は芳しくなく、4年以上も低迷し続けた。対策はなぜ効かなかったのか。
ライバルと同じ手法で対抗したが……
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