「御三家」と称されるホテルオークラ東京が、「The Okura Tokyo」として2019年9月に建て替えオープン。旧本館の雰囲気を再現しつつ、標準的な客室を以前の約1.5倍の広さとした。高層棟と低層棟で異なるコンセプトの2ブランドを導入し、客室単価の大幅な引き上げを狙う。カギは、得意とするビジネス需要に加えてレジャー需要の取り込みだ。
建て替えのために15年に休業した「ホテルオークラ東京 本館」(以下、旧本館)が、4年の歳月をかけてリニューアルオープンした。名称はThe Okura Tokyoとなり、今どきのデザインであるガラス張りの高層ビルからは、昔の面影を見いだすことはできない。しかし、エントランスからロビーに一歩足を踏み入れると、1962年に建てられた旧本館を象徴するロビーが、ほぼ当時のまま再現されている。
「壁面に使われていた群馬県産の多胡石は今では採掘できないので、世界中から50種類近いサンプルを取り寄せ、最も風合いが近いイタリア産の石を輸入した」「ロビーには3段分の段差があるが、現行のバリアフリー法ではスロープや手すりを付ける必要がある。それでは往年のイメージが損なわれるので、見えない位置に車椅子用のエレベーターを設けた」――。建て替えプロジェクトに携わったホテルオークラ東京総支配人の梅原真次氏に尋ねると、再現のための苦労話が次々と飛び出してきた。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー