2019年5月、国賓として来日した米国のトランプ大統領が宿泊した「パレスホテル東京」。特集の第4回は、海外に強固な顧客基盤がなく、国内にも有力な系列ホテルを持たない独立系ホテルが、日本を代表するラグジュアリーホテルにのし上がった背景に迫る。ポイントは、訪日客に合わせた接客スタイルと、女性客の取り込みにあった。
日本を代表するラグジュアリーホテルはどこか。日本人の多くは、その伝統と格式の高さから「帝国ホテル」と答えるかもしれない。しかし、海外からの評価は異なるようだ。世界的なトラベルガイド「フォーブス・トラベルガイド」は、2015年から東京のホテル格付けを発表。16年から4年連続で最高の5つ星を獲得している唯一の日系ホテルが「パレスホテル東京」だ。しかも19年は、その中でも特に優れたホテルを表彰する「2019 Verified List」にも選出。世界でトップクラスのホテル41施設の1つにノミネートされている。19年5月に国賓として来日した米国のドナルド・トランプ大統領が宿泊したことでも話題を呼んだ。
東京・丸の内の堀端にたたずむパレスホテル東京は、1961年に開業した老舗のシティーホテル。しかし、東京を代表する高級ホテルとしては、帝国ホテル、ホテルオークラ東京、ホテルニューオータニが“御三家”と称され、パレスホテルの評価はそこまで高くなかった。
大きく変わったのは、老朽化のため09年に一旦休業し、全面的に建て替えて2012年に再オープンしてから。全室が45平方メートル以上、皇居ビューになり、多くの客室にバルコニーを設けた。そのぶん、客室数は建て替え前より約100室も少ない290室となったが、客室単価のアップでカバー。19年上半期のADR(平均客室単価)は約6万2000円と、都内屈指のラグジュアリーホテルに生まれ変わった。
独立系ホテルでも訪日客は獲得できる
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