今回の東京ゲームショウ2019では、コナミデジタルエンタテインメントの「PCエンジン mini」が注目されたが、注目すべきレトロゲームは他にもある。ゲームショウ会場では昔のアーケードゲームの雰囲気を味わえるハードウエアや、手軽にレトロゲームが楽しめるサービスが展示されていた。
任天堂の「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」がヒットして以降、レトロゲームを搭載した復刻版ゲーム機の人気が高まっている。今回の東京ゲームショウでも、KONAMIが2020年の発売を予定している「PCエンジン mini」の展示が、人気を集めたようだ。
レトロゲームに取り組むのは、そうした大手企業だけではない。他にもさまざまな企業がレトロゲームを現代に復刻する取り組みを進めており、今回のゲームショウではいくつかのブースで、その一端を見ることができた。
アーケードゲームの雰囲気を現代に再現するハードの数々
レトロゲームが楽しめるハードウエアという意味で注目されるのは、タイトーが国内で販売している、ライトアップ型のアーケードゲーム機の本体を4分の3スケールで再現した『ARCADE1UP』。18年に『スペースインベーダー』などが楽しめる第1弾、19年に第2段を発売している。
そして今回のゲームショウでは新たに、『バーガータイム』などデータイーストのゲームが楽しめる新ラインアップのほか、新たに卓上に置いて楽しめるカウンターケード版も展示。さらに参考出展として、日本のゲームセンターで一般的だったテーブルタイプのモデルも用意しており、ラインアップを大きく広げ幅広いスタイルでレトロゲームを体感できる環境を提供しようとしている。
もう1つ、注目されるのがインフォレンズのブース。同社はアーケードゲーム風の小型本体でレトロゲームをプレーできる「レトロアーケード」を販売している。既にナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)やデータイースト、タイトーのゲームタイトルを収録したモデルがある。
そして今回のゲームショウでは、新作としてKONAMIの『魂斗羅』と、タイトーの『スペースインベーダー』を展示。同シリーズの従来モデルは、本体はアーケード風ながらもゲームはファミリーコンピューター版がベースとなっていたが、両タイトルはともにアーケード版がベースとなっているようで、よりアーケードゲームらしさを味わえるようになっている。
もっと手軽にレトロゲームを楽しむサービスも
専用のハードを買うほどではないけれど、既存のコンソールゲーム機などでレトロゲームをプレーしたいという人に向けた、ソフトやサービスの展示もなされている。その1つが、ハムスターブースに展示されている「アーケードアーカイブス」「アケアカNEOGEO」だ。
「アーケードアーカイブス」はPlayStation 4やNintendo Switchなどに向けて提供されているアーケードゲーム過去作品の販売サービスで、「アケアカNEOGEO」はそのNEOGEO版となる。同ブースでは「アーケードアーカイブス」「アケアカNEOGEO」で配信されている全タイトルのうち、1つを選んでプレーできる試遊台が設けられており、人気を博していた。
そしてもう1つ、レトロゲーム関連で注目されるのがシティコネクション(東京・千代田)のブース。同社はジャレコなどのIP(知的財産)を保有しており、そのIPを活用した新しいゲームを開発しているほか、レトロゲームの提供にも力を入れている。
今回のゲームショウで同社は、12月12日にPlayStation 4やNintendo Switch向けに発売予定の『忍者じゃじゃ丸コレクション』を展示している。このパッケージではその名前の通り、コンソールゲーム機に向けて提供された『忍者じゃじゃ丸くん』のシリーズ全作をプレーできるのだが、それに加えて新作『じゃじゃ丸の妖怪大決戦』も追加して提供。会場ではこの新作を実際にプレーすることができた。
スペースインベーダーの登場から既に40年以上が経過しており、その間多くの人がコンピューターゲームに慣れ親しんで育ってきた。それだけに、レトロゲームのビジネスチャンスは今後も確実に広がっていくことは間違いないだろう。
(文・写真/佐野正弘)