NTTドコモは開催中のゲームの祭典「東京ゲームショウ2019(TGS)」(幕張メッセ、2019年9月12~15日)で、第5世代移動通信システム(5G)の無線基地局や端末を利用したAR(拡張現実感)ゲームを実演している。同社は、19年9月20日に開幕する「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」で、「5Gプレサービス」を提供することを明らかにしているが、そこで利用する5G端末などをTGSでさらに“プレ公開”した可能性がある。


NTTドコモがTGSで公開した5G対応スマートフォンの試作機。かなり縦長の印象だ。(撮影:日経xTECH)
NTTドコモがTGSで公開した5G対応スマートフォンの試作機。かなり縦長の印象だ。(撮影:日経xTECH)

 NTTドコモがTGSで見せているのは、テーブルに描いたARのマーカーを5G対応端末で映すと端末の画面中に対戦型ゲームのキャラクターが現れるARのデモなど。5Gの低遅延(ゲーム操作に対する応答の速さ)をアピールする狙いだ。ここで利用している5G対応端末は、6型前後のスマートフォン。ただし、まだプロトタイプ(試作品)という位置付けで、メーカー名は明らかにしていない。

ARの映像を表示した様子(撮影:日経xTECH)
ARの映像を表示した様子(撮影:日経xTECH)

 このスマートフォンの縦横比はおおよそ2.3~2.4:1。韓国Samsung Electronicsの「Galaxy S8+」が同1.9:1であることを考慮するとかなり縦に長い印象だ。ソニーが19年6月に発売した「超縦長」といわれる「Xperia 1」の同2.3:1を上回っている可能性がある。

ミリ波を含む3周波数帯を利用

 ブースでは5Gの無線基地局も設置している。利用している電波の周波数は「28GHz帯、4.5GHz帯、3.7GHz帯」(NTTドコモ)。1本のポールにそれぞれの周波数帯に対応するアンテナ3機を、高さと角度を変えて設置している。ブース内の場所によって、利用する周波数帯を使い分けている様子だ。

5Gの無線基地局。上から28GHz帯、4.5GHz帯、3.7GHz帯のアンテナ。会場ではこのポールを2本設置している。(撮影:日経xTECH)
5Gの無線基地局。上から28GHz帯、4.5GHz帯、3.7GHz帯のアンテナ。会場ではこのポールを2本設置している。(撮影:日経xTECH)

 同社は実際の通信用帯域や端末間のトータルの遅延については明らかにしなかった。ただ、「無線区間の遅延は、5Gの規格値にかなり近づいてきている」(NTTドコモ)という。

28GHz帯とみられるアンテナ。筐体に「280」という数字がある。(撮影:日経xTECH)
28GHz帯とみられるアンテナ。筐体に「280」という数字がある。(撮影:日経xTECH)

4.5GHz帯とみられるアンテナ。筐体に「45」という数字がある。(撮影:日経xTECH)
4.5GHz帯とみられるアンテナ。筐体に「45」という数字がある。(撮影:日経xTECH)

3.7GHz帯とみられるアンテナ。筐体に「37」と書かれている。(撮影:日経xTECH)
3.7GHz帯とみられるアンテナ。筐体に「37」と書かれている。(撮影:日経xTECH)

(文・写真/野澤 哲生=日経 xTECH/日経エレクトロニクス)

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